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特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第8集 免疫学的検査 自己免疫関連検査
免疫複合体
著者: 秋山雄次1 三村俊英1
所属機関: 1埼玉医科大学リウマチ膠原病科
ページ範囲:P.477 - P.479
文献購入ページに移動生体に異物が侵入すると,単核食細胞や多核食細胞に取り込まれ処理される.単核食細胞の樹状細胞やマクロファージなどの抗原提示細胞(antigen presenting cell:APC)に病原菌などが取り込まれると,APCはこれらを抗原としてT細胞に提示し,最終的にB細胞より特異的抗体が産生される(自己免疫疾患では自己の成分あるいは自己の成分によく似た外来因子に対して抗体が産生されてしまう).免疫複合体(immune compley:IC)とは抗原に抗体が結合した抗原抗体複合体と,それに補体成分が結合した抗原抗体補体複合体をいう.
生体に侵入した病原微生物などの異物を排除する際にICが形成されるが,効率的に処理されないと,後述するように組織の障害を引き起こす可能性がある.血中の抗原・抗体複合体は複合体中の免疫グロブリンがほかの複合体と次々に架橋し,巨大な複合体を形成する可能性がある.しかし,血中に存在する補体がICと反応すると,複合体上に補体分解産物のC3bを結合・発現する.C3bやC3dはICがほかの免疫グロブリンと架橋するのを防ぎ,かつ複合体のなかに入り込み,サイズを小さくして可溶化する.大きなICも可溶化され,赤血球の補体レセプター(complement receptor 1:CR1)によって補体部分が捕捉され,血漿中より吸着される.赤血球上のICは肝臓や脾臓に運ばれ,そこで第Ⅰ因子の作用によって赤血球から乖離され,Fcレセプターや補体レセプターを有する単球,樹状細胞,マクロファージ,肝Kupffer細胞などによって貪食され処理される.
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