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文献詳細

雑誌文献

medicina47巻12号

2010年11月発行

文献概要

今月の主題 糖尿病診療Update―いま何が変わりつつあるのか

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著者: 小田原雅人1

所属機関: 1東京医科大学内科学第三講座

ページ範囲:P.1877 - P.1877

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 最近,糖尿病罹患者数は世界的に著明に増加する傾向があり,特にアジア地域は,今後とも糖尿病罹患者が著増すると考えられている.わが国も例外ではなく,2007年の国民健康・栄養調査によると,糖尿病罹患者は890万人,予備軍は1,320万人と報告されている.糖尿病患者においては,慢性合併症の予防が非常に重要な課題であり,生活習慣の改善は,すべての患者に指導する必要がある.前向きのコホート研究や糖尿病の発症予防試験も数多く報告され生活習慣の改善が糖尿病の発症抑制に有効であることも示されてきた.

 糖尿病発症後の患者においては,細小血管症と大血管障害の両方の合併症の予防が重要であることは論を待たない.近年,エビデンスに基づく治療が推奨されるようになり,糖尿病領域においても,1型糖尿病を対象とした大規模前向き臨床試験のDCCT,2型糖尿病を対象とした大規模臨床試験UKPDSをはじめとして,PROactive,ACCORD,ADVANCE,VADT,RECORDなどの無作為化前向き臨床試験の結果が数多く報告されてきている.例えば,新たに2型糖尿病と診断された患者を対象としたUKPDSでは,血糖管理と血圧管理の両方を同時に行うことが細小血管症や心筋梗塞の発症・進展抑制に重要であると明らかにされた.一方,大血管障害の発症・進展抑制には血糖管理や血圧管理だけでなく脂質異常症も含めた危険因子の多面的な管理が重要視されるようになってきている.またUKPDSの長期追跡試験の結果より,血糖管理は早期から行うことが重要であると明らかになってきた.そのほか,さまざまなメタ解析も報告されており,薬剤間の比較など,最新のデータの解釈も重要度が増してきている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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