文献詳細
文献概要
今月の主題 これ血液悪性疾患?自分の守備範囲?―非専門医のための見分け方 コラム
血液研究の魅力
著者: 三谷絹子1
所属機関: 1獨協医科大学内科学(血液・腫瘍)
ページ範囲:P.2194 - P.2195
文献購入ページに移動発症原因の解明により,巧妙な生命の仕組みに触れる
医師を志した人で,生命現象に興味のない人はいないであろう.病気は正常な生命現象の裏返しである.疾患の発症原因を解明することは,破綻した生命現象を理解することであり,そのことによって,あまりに巧妙に創造された生命の仕組みに触れることができる.これは,基礎研究者には与えられていない臨床家の特権である.がん研究,特に血液腫瘍の研究において,多くの場合にみえてくるのは(細胞の集合体である臓器の機能の異常ではなく)一つひとつの細胞が営む増殖・分化などの制御の異常である.すなわち,細胞レベルでの制御がはずれた生命現象である.これを本格的に研究するには,分子生物学,細胞生物学,発生工学の基礎が必要であり,得られる喜びも大きいが,そう簡単なことではない.
医師を志した人で,生命現象に興味のない人はいないであろう.病気は正常な生命現象の裏返しである.疾患の発症原因を解明することは,破綻した生命現象を理解することであり,そのことによって,あまりに巧妙に創造された生命の仕組みに触れることができる.これは,基礎研究者には与えられていない臨床家の特権である.がん研究,特に血液腫瘍の研究において,多くの場合にみえてくるのは(細胞の集合体である臓器の機能の異常ではなく)一つひとつの細胞が営む増殖・分化などの制御の異常である.すなわち,細胞レベルでの制御がはずれた生命現象である.これを本格的に研究するには,分子生物学,細胞生物学,発生工学の基礎が必要であり,得られる喜びも大きいが,そう簡単なことではない.
掲載誌情報