icon fsr

文献詳細

雑誌文献

medicina47巻5号

2010年05月発行

文献概要

連載 外来診療に差をつけるコミュニケーションスキル・8

三者関係を診療に生かす①:家族を意識した患者とのコミュニケーション

著者: 木村琢磨1

所属機関: 1国立病院機構東埼玉病院総合診療科

ページ範囲:P.908 - P.911

文献購入ページに移動
事例●姑に言われたことを契機に子どもを受診させた母親1)

5歳の女児が,今朝から発熱と鼻汁があるため,母親に連れられて外来を受診した.医師は上気道症状が受診動機と考え,病歴聴取を手短に切り上げ身体診察を行って,母親へ説明を行った.

医師 「熱が出たのでお母様もご心配と思いますが,風邪のようですから大丈夫ですよ」

母親 「先生,風邪はあまり心配していないんです.実は昨日の朝,いすから落ちて頭を打ちまして……」

医師 「そうでしたか」

医師は,母親からの意外な返答に内心驚かされた.明らかな感冒症状で来院しても,解釈モデルや受診動機を診療の前半で確認しておくべきだったと反省した.その後,母親から頭部を打った際の様子を聴取したところ,「母親が目を離した隙にいすから床へ落ちて後頭部を打ったが,いすの高さも低いうえ,床には絨毯が敷かれていた」という.追加の身体診察では神経学的に異常を認めず,臨床的に問題ないと考えられた.ただし,なぜ,昨日ではなく本日受診したのかが気になり,医師は母親に尋ねた.

参考文献

1)松村真司,箕輪良行(編):コミュニケーションスキル・トレーニング―患者満足度の向上と効果的な診療のために,医学書院,2007
2)Cole SA, Bird J:メディカルインタビュー,飯島克己,佐々木将人(訳):家族面接,pp 187-211,メディカル・サイエンス・インターナショナル,2003
3)飯島克己:家族とのコミュニケーション.外来でのコミュニケーション技法,第2版,pp 144-176,日本医事新報社,2006
4)McDaniel SH, et al:家族志向のプライマリ・ケア,松下明(監訳):個人の患者に対する家族志向のアプローチ,シュプリンガー・フェアラーク東京,pp 40-50, 2006
5)松下明:家族カンファレンスのもち方.JIM 13:73-78,2003

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら