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文献詳細

雑誌文献

medicina47巻6号

2010年06月発行

文献概要

今月の主題 酸塩基・電解質―日常で出くわす異常の診かた 処方で多くみられる電解質異常

漢方と低カリウム血症

著者: 前田益孝1

所属機関: 1取手協同病院腎臓内科

ページ範囲:P.1042 - P.1044

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ポイント

★利水(利尿)作用をもつ漢方薬は甘草を含有していることがある.

★甘草の主成分,グリチルリチンは腎臓でβ-hydroxysteroid dehydrogenase type 2(11 β-HSD2)を阻害し,コルチゾールのミネラルコルチコイド受容体(MR)への結合を促進し,偽性アルドステロン症を引き起こす.

★甘草は2.5g/日以上の投与量で偽性アルドステロン症を起こす危険が高まるが,少量あるいは長期の内服歴があっても,他薬剤との相互作用や患者の全身状態の変化から,突然,偽性アルドステロン症を引き起こすことがある.

参考文献

1)藤田敏郎(監):アルドステロンとRAAS―高血圧・臓器障害のパラダイムシフト,エルゼビア・ジャパン,2003
2)柴田洋孝,他:偽アルドステロン症の重症副作用への疾患別対応.日内会誌96:806-810, 2007
3)Quinkler M, et al:Hypertension and the cortisol-cortisone shuttle. J Clin Endocrinol Metab 88:2384-2392, 2003
4)Maeda Y, et al:Pseudoaldosteronism caused by combined administration of cilostazol and glycyrrhizin. Intern Med 47:1345-1348, 2008
5)長瀬美樹:腎臓病とミネラロコルチコイド受容体.日内会誌98:2894-2902, 2009

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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