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今月の主題 酸塩基・電解質―日常で出くわす異常の診かた 処方で多くみられる電解質異常―症例検討とshort review
鉄静注製剤(含糖酸化鉄)による低リン血症
著者: 清水祐一郎1 福本誠二1
所属機関: 1東京大学医学部附属病院腎臓・内分泌内科
ページ範囲:P.1068 - P.1071
文献購入ページに移動症例 43歳,女性.
主訴 背部痛.
家族歴 特記事項なし.
生活歴 機会飲酒.
現病歴 30歳時に月経過多で近医を受診し,子宮筋腫を指摘された.35歳頃から鉄欠乏性貧血が増悪,経口鉄剤を処方されたが,消化器症状の副作用のため継続できず,含糖酸化鉄の経静脈投与が開始された.ひと月に1~2回程度,40歳時の多いときには週1~2回の投与を継続していた.40歳時に子宮筋腫核出術を施行したが,鉄欠乏性貧血は持続し,含糖酸化鉄の投与も継続していた.43歳時,スキー中に転倒後,腰や股関節,膝などの骨痛が出現,近医整形外科で脊椎の多発圧迫骨折(第5~9,11,12胸椎,第1,5腰椎)が発見された.多発骨折の原因として,多発性骨髄腫や悪性腫瘍の多発骨転移,代謝性骨疾患が疑われ,精査により著明な低リン(P)血症(P 1.2mg/d
来院時低P血症に加え,尿細管P再吸収閾値であるTmP/GFR(tubular maximum for phosphate)が1.0 mg/d
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