medicina47巻6号

2010年06月発行

連載 アレルギー膠原病科×呼吸器内科合同カンファレンス・3

高齢者の原因不明関節炎には注意！

著者： 岡田正人¹ 仁多寅彦²

所属機関： ¹聖路加国際病院アレルギー膠原病科（成人・小児） ²聖路加国際病院呼吸器内科

ページ範囲：P.1106 - P.1109

文献概要

後期研修医　今回の症例は，73歳の女性です．半年ほど前から左足関節の腫脹と歩行時の疼痛があり，近医整形外科を受診した際には単純X線で問題なく，非ステロイド性抗炎症薬（non- steroidal anti-inflammatory drug：NSAID）の投与で経過観察となりました．その後も改善がなく，リウマトイド因子陰性で原因不明と言われたとのことで，当院のアレルギー膠原病科に紹介受診となりました．既往歴としては脂質異常症のみで，喫煙歴もなく，アルコール摂取もないとのことでした．関節炎に対してNSAIDと脂質異常症に対して数年前からスタチンを服用しています．身体所見上は，一般的な頭頸部，聴診所見などは特に問題なく，リンパ節腫脹などもありませんでした．左足関節は明らかに腫脹し発赤と熱感があり，tibiotalar joint（脛距関節）のpassiveおよびactiveな動きで疼痛が誘発されました．

参考文献

1）岡田正人：プライマリケア外来における急性・慢性関節炎・関節痛の診断の進め方．medicina 37：1466-1471, 2000

2）Chakravarty EF：Musculoskeltal Syndromes in Malignancy. Firestein GS, et al（eds）：Kelly's Textbook of Rheumatology, 8th ed, pp1841-1862, 2008

3）Morel J, et al： Characteristics and survival of 26 patients with paraneoplastic arthritis. Ann Rheum Dis 67：244-247, 2008

4）Bernatsky S, et al：Lung cancer after exposure to disease modifying anti-rheumatic drugs. Lung Cancer 59：266-269, 2008

5）Thomas E, et al：National study of cause-specific mortality in rheumatoid arthritis, juvenile chronic arthritis, and other rheumatic conditions；A 20 year followup study. J Rheumatol 30：958-965, 2003