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書評
―放射線診療安全向上研究会 編―画像診断ヒヤリ・ハット―記憶に残る画像たち
著者: 大友邦1
所属機関: 1東京大学大学院医学系研究科放射線医学講座
ページ範囲:P.1244 - P.1244
文献購入ページに移動 Wikipediaによると,「失敗」は,ある程度の損害やデメリットを承知したうえでの織り込み済みの失敗,果敢なトライアルの結果としての失敗,そしてヒューマンエラーによる失敗の3種類に大別できるそうです.救命を最優先して行われるIVRは,常に前2者との遭遇を覚悟しながら行われる医療行為ということができます.一方,ヒューマンエラーに起因する第3の失敗は,回避可能であるにもかかわらず発生し,失敗が次の失敗を生む悪循環に陥る危険性もあるものです.我々放射線診断医の日々の読影業務は,ある意味で見落とし,誤診という第3の失敗との戦いであるということができます.そして瞬時に膨大な画像データを生み出すMDCTと高速MR撮像法の進歩と普及は,医療に向けられる社会の視線の厳格化と相まって,この戦局を一層深刻なものにしています.
本書は,画像診断において第3の失敗を未然に防ぐことができた,あるいは悪循環に陥ることを防ぐことができた113症例(頭部9,頭頚部8,肺9,乳腺5,心大血管4,肝胆膵11,消化管21,婦人科9,小児5,造影剤・検査10,PET5,腎8,骨軟部9)から構成されています.各症例は見開き2頁に簡潔にまとめられているだけではなく,読者が実際の経過を追体験できるように,小項目(スタッフの会話形式の初期診断,択一問題形式の「あなたならどうする?」,その後の経過,ヒヤリ・ハットのポイント)の並びと内容に細かい工夫がなされています.いわゆる「後知恵」では何とでもいえるのでしょうが,顛末を知らずに,「どこに本書に掲載される由縁となった所見が隠されているのか」と考えながら画像を見ていると,いつのまにか緊張している自分に気づかされました.
本書は,画像診断において第3の失敗を未然に防ぐことができた,あるいは悪循環に陥ることを防ぐことができた113症例(頭部9,頭頚部8,肺9,乳腺5,心大血管4,肝胆膵11,消化管21,婦人科9,小児5,造影剤・検査10,PET5,腎8,骨軟部9)から構成されています.各症例は見開き2頁に簡潔にまとめられているだけではなく,読者が実際の経過を追体験できるように,小項目(スタッフの会話形式の初期診断,択一問題形式の「あなたならどうする?」,その後の経過,ヒヤリ・ハットのポイント)の並びと内容に細かい工夫がなされています.いわゆる「後知恵」では何とでもいえるのでしょうが,顛末を知らずに,「どこに本書に掲載される由縁となった所見が隠されているのか」と考えながら画像を見ていると,いつのまにか緊張している自分に気づかされました.
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