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連載 Festina lente
多忙自慢
著者: 佐藤裕史1
所属機関: 1慶應義塾大学医学部クリニカルリサーチセンター
ページ範囲:P.1841 - P.1841
文献購入ページに移動今や自慢の対象は「びんぼう」でなく「多忙」だろう.「最近いかがですか」「いやあ,忙しくて」という会話を一日に何人が口にすることか.「お忙しいところわざわざお運びいただいて」とは無意味な儀礼的枕詞に過ぎないが,そこには媚びへつらいの欺瞞も混じるし,「忙しくないような奴は駄目だ」「暇は怠慢と無能の証拠」という圧力すら感じられる.「今日の外来には60人来た」「何だそのくらい,俺のところなんて100人は下らないぞ」「いやうちは多いと150人だ」と外来患者の多さをいう医師たちは,ぼやきと慨嘆に加えて,「自分はこれだけ忙しく診察しているのにお前は何だ」という非難や「水揚げ」の自慢もないとはいえまい.
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