文献詳細
連載 医事法の扉 内科編・10
説明義務(5)
著者: 福永篤志1 松川英彦2 稲葉一人3
所属機関: 1国家公務員共済組合連合会 立川病院脳神経外科 2国家公務員共済組合連合会 立川病院内科 3中京大学法科大学院
ページ範囲:P.1842 - P.1843
文献概要
カテーテル挿入部位は,医学的根拠に基づいて決定されるべきものであって,患者の好みだけで決定されるものではありません.ですから,担当医の判断が第一に尊重されるのは当然で,臨床現場では,患者の希望はいちいち聴取されずに担当医の判断に従い実行されることが通常です.ただ,問題は,複数の選択肢があり,患者が特別の希望をもっていた場合です.担当医が最良と判断しても,患者にとっては苦痛で耐えがたい方法かもしれません.また,複数あるのに1つの方法しか説明しなかったら,単なる医療慣行にすぎないのではないかという疑問を抱かれてしまう可能性もあります.もちろん,医師は,患者にとって最善,かつ,自分が慣れ親しんだ方法で挿入部位を決定すべきだと思いますが,医療水準を満たした複数の方法がある以上,それらの利害得失と自分がなぜその方法を選択したかの理由を説明したうえで,患者に自己決定の機会を与えたほうがよいと考えられます.
掲載誌情報