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文献詳細

雑誌文献

medicina48巻11号

2011年11月発行

文献概要

特集 内科 疾患インストラクションガイド―何をどう説明するか 患者にどう説明するか

医師と患者とのすれ違いについて

著者: 尾藤誠司1

所属機関: 1東京医療センター教育研修部臨床研究科

ページ範囲:P.17 - P.21

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説明することの目的は何か?

 「そもそもなぜ説明する必要があるのか?」と書くと,この「インストラクションガイド」自体に難癖をつけているようである.しかし,インストラクションを考える際には,その部分について医療者自身が納得している必要がある.なぜ説明する必要があるのだろうか? 本稿で医師の義務に関する法的解釈などとは独立した視点で述べてみたい.

 例えば,『ミシュランガイド』で星マークのついたフランス料理店に行くと,本日のメニューについて店員が丁寧に説明してくれる.私は結構なグルメなのだが,正直よく分からない.店員の説明を聞いていて私が感じることは,ほとんどの場合「心地よい儀式ですね」ということ,もう1つは「よく分からんが,うまそうだということは分かった」ということである.一方で,食堂でとんかつ定食を注文する際に,とんかつの説明を客に逐一行う店員はまずいない.こだわりのとんかつで売っている店なら,店の壁に大きく「うちは白金豚を自然の環境で放牧したものだけを使っています」とか,「ラードを使って低温でじっくり揚げてます」だとか説明が書かれているかもしれない.この説明の意図は明確である.自分の店とほかの店とは違う,という差別化のために客に理解を促しているのである.

 では,医療行為はなぜ説明する必要があるのだろうか?

参考文献

1)谷田憲俊:インフォームド・コンセント―その誤解・曲解・正解,医薬ビジランスセンター,2006
2)尾藤誠司:「医師アタマ」との付き合い方―患者と医者はわかりあえるか,中央公論新社,2010

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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