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特集 内科 疾患インストラクションガイド―何をどう説明するか 消化器疾患
原発性胆汁性肝硬変
著者: 石橋大海1 小森敦正1 下田慎治2
所属機関: 1国立病院機構長崎医療センター臨床研究センター 2九州大学大学院病態修復内科学
ページ範囲:P.287 - P.289
文献購入ページに移動▲原因は不明ですが,自己免疫という機序で肝臓の中の小さな胆管が破壊されるため,肝臓で産生され,胆管を通じて十二指腸へ排出されるべき胆汁が,肝臓内および血液中にうっ滞(停滞)し,全身の組織にビリルビンが沈着して黄疸が生じる病気です.
▲多くの場合,肝臓に炎症が生じ,放置して炎症が続けば肝硬変へと進展することもあります.
▲わが国では病初期で見つかることが多く,大部分(7~8割)は症状が出ることなく一生を終えます.
▲一部は炎症とうっ滞した胆汁により肝細胞が次第に破壊されて線維に置換され,徐々に肝硬変へと進行します.肝硬変に至ると肝臓の働きが低下して,黄疸が増強し,腹水貯留,意識障害(肝性脳症)を生じて肝不全という状態を呈します.食道静脈瘤もできます.
▲ウルソデオキシコール酸(UDCA)に病気の進展を遅らせる効果が認められており,治療薬として広く使用されています.
▲肝障害に伴う症候が出ている患者さんは,特定疾患として医療費の補助が受けられます.
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