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特集 内科 疾患インストラクションガイド―何をどう説明するか 腎・尿路疾患
腎盂腎炎・膀胱炎・尿道炎・副睾丸炎・前立腺炎
著者: 今泉貴広1 藤田芳郎2
所属機関: 1中部ろうさい病院腎臓内科 2中部ろうさい病院リウマチ科
ページ範囲:P.331 - P.334
文献購入ページに移動【膀胱炎】
▲肛門の近くにいる細菌が,尿の出口から膀胱の中に侵入して繁殖し,膀胱に炎症を起こす病気です.特に女性は肛門と尿道の距離が近いため,女性に多い病気です.
▲膀胱に刺激が加わるために尿意を強く感じ,また,尿を出した後も残っているような感覚があります.しかし膀胱炎だけでは高熱になることはありませんので,発熱がみられた場合は腎臓などの実質臓器にまで感染が広がっている可能性が高いです.
【腎盂腎炎】
▲膀胱から尿管を逆行して菌が繁殖し,腎臓にまで炎症が及んだ病気です.
▲通常は片側性の腰背部痛が出現することが多いですが,時に両側になったり,腰背部痛よりも腹痛が目立ったりすることもあります.しかも急性腹症と間違われるような激しい腹痛を起こすことがあります.また,「原因不明熱」ではっきりした痛みを呈さないこともあります.高齢者や糖尿病患者にそのような方の割合が多いようです.
▲菌が血液中に侵入して「菌血症」となることも多く,その場合,悪寒・戦慄を伴う発熱をきたします.
▲この疾患は早期に抗菌薬治療を行う必要があります.
【前立腺炎・副睾丸炎】
▲前立腺に細菌が感染し,排尿時痛,排尿困難,発熱などがみられます.
▲若い方では性行為に関連した疾患であることが多いですが,高齢の方でもともと前立腺肥大などがあり排尿障害がある場合は,腸内の細菌が侵入して感染を起こすことがあります.
▲中高年では前立腺炎に合併して副睾丸炎が起こることがあります.
【尿道炎】
▲主に淋菌やクラミジアなどが原因となって尿道に炎症を起こす病気です.
▲尿道から膿が出てきたり,排尿時に激痛をきたしたりします.
▲性行為によって人から人にうつる病気の1つで,パートナーも治療の対象になります.放置すると不妊症の原因となったりすることもあります.
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