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文献詳細

雑誌文献

medicina48巻13号

2011年12月発行

文献概要

連載 医事法の扉 内科編・12

医療訴訟のしくみ(2)

著者: 福永篤志1 松川英彦2 稲葉一人3

所属機関: 1国家公務員共済組合連合会 立川病院脳神経外科 2国家公務員共済組合連合会 立川病院内科 3中京大学法科大学院

ページ範囲:P.2208 - P.2209

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 前回は,証拠保全まで説明しました.患者らは,証拠保全により収集した医療記録のコピーをチェックし,医療過誤の有無を検討します.もしそれが認められなければ,訴えを提起しても意味がありませんから,通常は訴えません.ただ,たとえ医療記録上明らかな過誤が認められなくても,医師・患者間の信頼関係が破綻していると,「隠蔽しているかもしれない」などと猜疑的にみられやすくなり,訴訟へと発展する可能性が高くなってしまうでしょう.また,過誤の可能性について患者らは,知り合いの医師などに相談することも多いようです.なぜなら,証拠保全には,弁護士の助けが必要ですが,さすがに弁護士といえども医学知識まで十分把握している人は少ないからです.余談ですが,第三者の医師が医事紛争に独自の見解を述べたために訴訟化することがあります.「後医は名医」と評されるように,患者らから相談された医師は,前医への不用意な批判は大いに慎むべきでしょう1)

 ところで,証拠保全で収集した医療記録だけでは裁判を維持するのに不十分だと考えられる場合もあります.そのような場合には,訴訟提起前に証拠を収集する手続きとして,以下の2つの方法を利用できます.

参考文献

1)福永篤志:医療訴訟予防論.No Shinkei Geka 38:891-901, 2010
2)中村勝己:医療裁判の現状と課題―法律家の視点から―.日集中医誌15:497-502, 2008
3)望月浩一郎:医療事故紛争を生じ深刻化させる要因―患者,家族の立場から―.治療83:2363-2368, 2001

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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