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文献詳細

雑誌文献

medicina49巻10号

2012年10月発行

文献概要

書評

―八重樫牧人,岩田健太郎 監修 亀田総合病院 編―総合診療・感染症科マニュアル

著者: 青木眞1

所属機関: 1サクラ精機株式会社

ページ範囲:P.1697 - P.1697

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 優れた研修病院には,それぞれが置かれた地域や患者層にマッチした独自の診療文化・スタイルともいうべきものがあり,これが国際標準化機構(International Organization for Standardization:ISO)などでは評価できない形でその施設の診療の質を大いに高めている.

 そしてこれらの施設には,長年,培われた有形・無形の診療上の知恵が集約され,それを何とか霧散させず次世代に語り継ぎたいという熱意による診療マニュアルが必ず存在する.古典的なものとしてはワシントン大学のワシントンマニュアル,聖路加国際病院の内科レジデントマニュアルなどが挙げられ,“母校”沖縄県立中部病院にも同様のものがある.最近勃興が著しい新しい研修病院にも,歴代,屋根瓦方式で養われた研修医・レジデントたちにより練り上げられた秘伝のマニュアルがあり,その形はA4の紙に印刷されたものをホッチキスで留めただけのものから,院内ネット上のフォルダにまとめられたパワーポイント形式のものまで,いろいろであるが,若々しい診療上の熱意と良心が結晶化している.ここには「良き医師として患者を助けたい・役に立ちたい」という強烈なベクトルが充溢しており,同時に,その施設がいかに粗野な野戦病院であっても言語化できない「温もり」「優しさ」がにじんでいる.「自分の体調・気分・能力に左右されずに良質な診療を毎日提供したい」という臨床医であれば誰もが自然に持つ本質的な願いによる産物である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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