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ヒトIgG4は,通常はIgGの約4%を占めるに過ぎないIgGのうち最も少ないサブクラスである.悪性疾患を含めたさまざまな膵疾患のなかで,自己免疫性膵炎において,血清IgG4値が上昇していること,膵組織でIgG4陽性の形質細胞が増加していることが報告されたのは約10年前である1).その後,同様の病態が内・外分泌器官,眼,肺,皮膚,腎臓など幅広い組織において,さまざまな表現型を伴って生じることが明らかになり,「IgG4関連疾患」と総称されるに至っている2).IgG4関連疾患,と呼ばれる疾患において,IgG4は補体の活性化作用をもたないとされている.IgG4関連疾患と呼ばれる疾患において,IgG4が関与する(自己?)免疫反応が,その病態形成に主たる役割を果たしているのかどうか,もしそうであるならどのような機序か,ということは現時点では明らかではない.しかしながら,いままでよくわからなかった病像が,IgG4関連疾患という切り口で眺めると明瞭に理解できるケースがあることも事実であるし,ステロイド治療により病像が劇的に改善することも少なくないこと,本邦で提唱された疾患概念であること,などもあいまって,さまざまな診療領域において,IgG4関連疾患はひとつのブームとなっている.
ヒトIgG4は,通常はIgGの約4%を占めるに過ぎないIgGのうち最も少ないサブクラスである.悪性疾患を含めたさまざまな膵疾患のなかで,自己免疫性膵炎において,血清IgG4値が上昇していること,膵組織でIgG4陽性の形質細胞が増加していることが報告されたのは約10年前である1).その後,同様の病態が内・外分泌器官,眼,肺,皮膚,腎臓など幅広い組織において,さまざまな表現型を伴って生じることが明らかになり,「IgG4関連疾患」と総称されるに至っている2).IgG4関連疾患,と呼ばれる疾患において,IgG4は補体の活性化作用をもたないとされている.IgG4関連疾患と呼ばれる疾患において,IgG4が関与する(自己?)免疫反応が,その病態形成に主たる役割を果たしているのかどうか,もしそうであるならどのような機序か,ということは現時点では明らかではない.しかしながら,いままでよくわからなかった病像が,IgG4関連疾患という切り口で眺めると明瞭に理解できるケースがあることも事実であるし,ステロイド治療により病像が劇的に改善することも少なくないこと,本邦で提唱された疾患概念であること,などもあいまって,さまざまな診療領域において,IgG4関連疾患はひとつのブームとなっている.
参考文献
1)Hamano H, et al:High serum IgG4 concentrations in patients with sclerosing pancreatitis. N Engl J Med 344:732-738, 2001
2)Stone JH, et al:IgG4-related disease. N Engl J Med 366:539-551, 2012
3)Ishizaka N, et al:Infected aortic aneurysm and inflammatory aortic aneurysm-In search of an optimal differential diagnosis. J Cardiol 59:123-131, 2012
4)Siddiquee Z, et al:Dense IgG4 plasma cell infiltrates associated with chronic infectious aortitis;Implications for the diagnosis of IgG4-related disease. Cardiovasc Pathol, 2012(in press)
5)Matsumoto Y, et al:A case of multiple immunoglobulin G4-related periarteritis:a tumorous lesion of the coronary artery and abdominal aortic aneurysm. Hum Pathol 39:975-980, 2008
6)Kusumoto S, et al:Mass lesions surrounding coronary artery associated with immunoglobulin G4-related disease. J Cardiol Cases 5:e150-e154, 2012
7)Ikutomi M, et al:Giant tumorous legions surrounding the right coronary artery associated with immunoglobulin-G4-related systemic disease. Cardiology 120:22-26, 2011
8)Tanigawa J, et al:Immunoglobulin G4-related coronary periarteritis in a patient presenting with myocardial ischemia. Hum Pathol 43:1131-1134, 2012
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