文献詳細
連載 医事法の扉 内科編・24
判例上の義務(2)
著者: 福永篤志1 松川英彦2 稲葉一人3
所属機関: 1国家公務員共済組合連合会 立川病院脳神経外科 2国家公務員共済組合連合会 立川病院内科 3中京大学法科大学院
ページ範囲:P.2198 - P.2199
文献概要
説明義務(民法645条,医療法1条の4第2項など)は,その条文を読む限り,医療従事者に対し,原則として患者本人への説明義務を課したものと解されます.一方,療養指導義務(医師法23条)は,「本人又はその保護者」への療養指導を義務付けています.これは,日常生活における疾病管理について,その疾病の治療・再発予防を徹底させるためには,病者だけに任せると不十分な場合があるので,そのような場合には周囲の家族などの保護者にも協力してもらう必要があるという配慮に基づくものだと考えられます.特に,小児や高齢者の場合には,保護者の協力が不可欠です.そうすると,療養指導の際には病状に関する説明も必要ですから,結局,患者本人だけでなくその保護者に対しても説明義務が発生するようにも思えます.
参考文献
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