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雑誌目次

雑誌文献

medicina49巻2号

2012年02月発行

雑誌目次

今月の主題 下痢と便秘―今日的アプローチ

著者: 三浦総一郎

ページ範囲:P.193 - P.193

 下痢や便秘といった便通異常は,日常診療で多く遭遇する症候ですが,原因あるいは病因が十分に説明できる場合は少なく,対症療法ですませてしまうことが多いようです.大部分の症例では無投薬で様子をみていてもself-limitingに軽快して問題ないのですが,なかには重大な疾患の始まりであったり,便通異常がアラームサインであったりする可能性もあり,決して看過できない症状であるといえます.また,便通異常が長引く場合,あるいは難治性の場合にどのように診断・治療を進めてゆくかについて,内科医はもちろんのこと消化器病専門医でも判断が困難なケースがしばしばみられます.そのような場合に患者のQOLは著しく損なわれているケースが多く,治療がうまくゆかないと薬の種類や服薬量のみ増えてゆく,あるいはドクターショッピングのような状況に陥ることもあるようで,その際にやたらと画像診断や内視鏡検査を繰り返してよいのかという疑問も生じます.したがって実際の診療に際しては,病因病態を探りつつ,適切な治療法を提供してゆくというバランスの良さが強く求められる症候といえるのではないでしょうか.本特集ではそのような背景を踏まえ,下痢・便秘に関する最新の情報や知見をもとに,それぞれの分野の立場から多角的に捉え,便通異常に対してどのように診療を進めてゆくのが最もふさわしいか,ご紹介いただくように企画いたしました.

 20世紀後半に胃や大腸の内視鏡的形態学が急激な発展を遂げたこともあり,消化管運動や消化吸収などの消化管機能に関する学問の進歩が一時停滞しているような状況でありました.しかし,特に近年ダブルバルーン小腸内視鏡,カプセル内視鏡などの新しい診断モダリティが出現したことにより,今まで暗黒の大陸といわれていた小腸にも十分目が届くようになったことから,小腸疾患への関心や知識も今までになく拡がっております.また,Rome委員会のもとで機能性消化管疾患の定義と系統付けがなされ,過敏性腸症候群ばかりでなく,機能性の便秘や下痢についても体系づけられ,多くの研究が行われるようになってきました.それに呼応するかのように機能性の下痢や便秘疾患に対して作用機序の異なった種々の新しい薬物が今までになく盛んに開発されている状況です.さらに,わが国での高齢者人口の増大を背景に高齢者に対する特別な配慮の必要性,あるいは女性特有のライフサイクルを考慮した性差医療など新しい側面がクローズアップされ,それに関連した便通異常にも重点を置く必要性がさらに増しております.

理解のための29題

ページ範囲:P.328 - P.332

病態生理―どうして起こるのか?

下痢の病態メカニズム

著者: 水野慎大 ,   日比紀文

ページ範囲:P.194 - P.196

ポイント

★下痢は腸管の水分吸収力低下や水分分泌量の増加によって糞便中の水分量が増加して生じる.

★下痢は浸透圧上昇,電解質・水分分泌増加,血漿・粘液分泌増加,吸収不良などで生じる.

★脳腸相関にはセロトニン受容体が深く関わっている.

便秘の病態メカニズム

著者: 松下光伸 ,   深田憲将 ,   岡崎和一

ページ範囲:P.199 - P.202

ポイント

★便秘とは,糞便の腸管内の異常な停滞あるいは腸管内通過時間の異常な延長であり,便通の回数と排便量の減少した状態である.

★便秘は慢性に発症し,女性は男性の2倍頻度が高く,さらに加齢とともに頻度が増加する.

★大腸の蠕動運動,胃結腸反射,骨盤神経から肛門脊髄中枢を介した排便反射,延髄・視床下部を経た上位中枢のいずれかに障害が生じると便秘をきたす.

★発生機序からみた便秘の分類では,①特発性,②神経性,③機械性閉塞,④内分泌疾患,⑤筋異常性疾患,⑥代謝性疾患,⑦薬剤性がある.

★大腸疾患からみた便秘の分類では,腸管狭窄の有無から,①器質性便秘と②機能性便秘に分類され,便秘発症後の経過によって急性便秘と慢性便秘に分類される.

診断アプローチの手順

下痢の診断アルゴリズム

著者: 上野文昭

ページ範囲:P.203 - P.206

ポイント

★患者の訴える「下痢」の意味するところを正確に把握する.

★下痢の性状と持続期間に注目する.

★急性下痢のほとんどは自然寛解性の感染性腸炎で厳密な診断は不要なことが多い.

★慢性下痢をきたす代表的な疾患を知ることが鑑別診断のうえで重要である.

便秘の診断アプローチ

著者: 坂田祐之 ,   田中未生 ,   藤本一眞

ページ範囲:P.208 - P.210

ポイント

★便秘には器質性便秘と機能性便秘がある.

★大腸内視鏡検査でもある程度は弛緩性便秘と痙攣性便秘の鑑別は可能である.

★便秘の多くは機能性便秘だが,器質性便秘である大腸癌による便秘が潜んでいることもあり大腸内視鏡検査は必須である.

★大腸機能検査は,一般診療ではあまり行われず,検査できる施設も限られているのが現状である.

検査のトピックス

便検査で何がわかるのか?

著者: 木下芳一 ,   川島耕作

ページ範囲:P.211 - P.214

ポイント

★下痢・便秘の原因検索のためには,便の硬度,色などの外観,臭い,を注意深く観察することが重要である.

★便は,消化管の傷の有無,炎症の有無,消化・吸収能の有無を判定するために有用な材料である.

★便中の病原微生物やその毒素を検出するための迅速診断法が開発されている.

内視鏡検査や画像検査で何がわかるのか?

著者: 佐々尾航 ,   林芳和 ,   山本博徳

ページ範囲:P.216 - P.219

ポイント

★急性下痢では一般に画像検査の緊急性は低い.ただし,血性下痢および免疫抑制状態の場合は考慮すべきである.

★慢性下痢では炎症性腸疾患やMicroscopic colitisを考慮し,内視鏡検査および生検による組織学的評価を行うべきである.

★便秘では急性・慢性にかかわらず,大腸癌の可能性を考慮し,大腸内視鏡検査を施行すべきである.

★ただし,閉塞症状を伴う便秘は大腸内視鏡検査の前に腹部CT検査を施行すべきである.

下痢症へのアプローチ

感染性下痢,旅行者下痢症

著者: 神谷茂

ページ範囲:P.220 - P.224

ポイント

★感染性下痢症は細菌性下痢症,ウイルス性下痢症,寄生虫(原虫)性下痢症に分類される.

★細菌性下痢症には細菌性赤痢,コレラ,腸管出血性大腸菌感染症,病原性大腸菌感染症,カンピロバクター腸炎,腸炎ビブリオ腸炎,ウェルシュ菌腸炎,セレウス菌腸炎などが含まれる.

★ウイルス性下痢症の起因ウイルスとしてノロウイルス,ロタウイルス,サポウイルス,アデノウイルスなどが含まれる.

★寄生虫(原虫)性下痢症の原因寄生虫(原虫)として赤痢アメーバ,ランブル鞭毛虫,クリプトスポリジウムなどがある.

★旅行者下痢症は先進国の人々が熱帯地方や亜熱帯地方へ旅行した際に罹患する下痢症のことである.

免疫不全症や移植後の下痢症

著者: 小泉祐介 ,   藤山佳秀

ページ範囲:P.225 - P.229

ポイント

★HIV関連下痢は,①日和見疾患,②HIV腸症,③治療関連下痢症に分けられる.

★免疫抑制薬そのものによる下痢は,薬剤によってその頻度やマネジメントが異なる.

★移植後の下痢症で,GVHDとTMAは重症化すると致死的であり,注意を要する.

抗菌薬関連性腸炎

著者: 池谷賢太郎 ,   飯田貴之 ,   花井洋行

ページ範囲:P.231 - P.234

ポイント

★抗菌薬関連性腸炎として,偽膜性腸炎,出血性腸炎,MRSA腸炎が挙げられる.

C.difficile感染症で,偽膜性腸炎などを包括する疾患概念をC.difficile関連疾患(CDAD)という.

★CDADは欧米にて強毒株によるアウトブレイク,炎症性腸疾患患者の病態悪化への関与などで注目が高まっている.

★抗菌薬関連腸炎が疑われた際には,原因薬剤の中止と同時に,C.difficile毒素検出キットや便培養,内視鏡検査を施行し,速やかに適切な治療を行うことが望ましい.

炎症性腸疾患に起因する下痢の診かた

著者: 森尾純子 ,   渡辺守

ページ範囲:P.236 - P.240

ポイント

★炎症性腸疾患は,近年患者数が増加しており,治療の種類も拡がりつつある.

★腹痛や下痢,血便を繰り返すことで受診される患者さんにおいては,その年齢を問わず,炎症性腸疾患を念頭に置くことが望ましい.

★鑑別すべき疾患のなかには治療法が全く異なるものがあり,注意が必要である.

鑑別に留意する下痢,難治性下痢

著者: 石川智士 ,   平井郁仁 ,   松井敏幸

ページ範囲:P.241 - P.244

ポイント

★難治性の慢性下痢症の原因は多岐にわたり,原因に応じた治療法が必要である.

★初診時では脱水により血圧低下や頻脈をきたしていることもあり,重症度の判断が必要である.

★問診や診察である程度は疾患が絞られてくる.閉塞性大腸癌など重篤な疾患を見逃さないように注意深い診察が必要である.

★アミロイドーシスや炎症性腸疾患など一部,下痢を伴う疾患では消化管の正常粘膜からの生検が有用となる場合がある.

急性下痢へのクリティカルケア

著者: 山本貴嗣 ,   久山泰

ページ範囲:P.245 - P.248

ポイント

★急性下痢の原因検索には,まず詳細な問診が重要である.

★腹痛など下痢以外の随伴症状に注意する.

★急性下痢では脱水の治療が重要であり,経口摂取が困難な場合は経静脈的に補液を行う.

★止痢薬や抗菌薬の投与は慎重に行う.

★非典型例では,感染症以外の疾患を念頭に置く.

下痢症に対する食事療法・生活指導

著者: 桜庭彰人 ,   小山元一 ,   高橋信一

ページ範囲:P.249 - P.251

ポイント

★急性下痢症の食事療法として,軽度から中等度の脱水に対して積極的に経口補水液を用いる.

★従来の絶食は不要で,早期の普通食再開が勧められる.

★生活指導で重要なのは,感染予防と感染拡大対策である.

下痢症に対する止瀉薬,薬物療法

著者: 山上博一 ,   渡辺憲治 ,   荒川哲男

ページ範囲:P.253 - P.255

ポイント

★下痢症に対する薬物療法を行う際には,まず下痢を引き起こす原因疾患の特定に努める.

★感染性腸炎に対する安易な止瀉薬の使用は慎むべきである.

★止瀉薬の使用にあたっては効果をみながら種々の薬剤を組み合わせる.

便秘症へのアプローチ

機能性便秘

著者: 河野友彰 ,   松本譽之

ページ範囲:P.257 - P.259

ポイント

★機能性便秘を疑い診察にあたる際には,病歴,内服薬などの詳細な問診が必要である.

★機能性便秘の診断には器質的疾患を否定する必要がある.

★さらに二次性便秘の原因となる全身的疾患,薬剤がないか精査する.

★大腸通過遅延型,排便機能障害型などの病態を把握する.

直腸肛門機能障害による便秘に対するアプローチ

著者: 神山剛一 ,   荒木靖三 ,   野明俊裕

ページ範囲:P.260 - P.263

ポイント

★直腸肛門機能障害による便秘の診断は直腸肛門機能検査が有用である.

★評価にあたっては便を押し出す力が十分であるかどうかや,骨盤底筋群(肛門括約筋,肛門挙筋など)に不要な力が入っていないかどうかの観察が重要である.

★治療の基本は食生活の指導であり,次いでバイオフィードバック療法などの保存療法で,手術適応は限定的である.

直腸粘膜脱,宿便潰瘍

著者: 長坂光夫 ,   平田一郎

ページ範囲:P.264 - P.266

ポイント

★直腸粘膜脱は排便時に過度ないきみ(straining)の習慣がある.

★直腸粘膜脱は隆起型,潰瘍型,平坦型に分類される.

★宿便潰瘍は便秘の症状が先行し,無痛性の大量出血をきたす.

鑑別に留意すべき便秘,難治性便秘

著者: 前畠裕司 ,   森山智彦 ,   松本主之

ページ範囲:P.267 - P.270

ポイント

★便秘をきたす疾患は多数存在し,器質性疾患のなかでは大腸癌の頻度が高い.

★消化管のみならず,腹腔内臓器の疾患や全身性疾患も,便秘の原因となる.

★便秘症患者の診療では,対症療法の前に原因疾患の有無について検索する必要がある.

慢性便秘の食事・生活指導―便秘は健康にどう影響するか?

著者: 松本吏弘 ,   吉田行雄

ページ範囲:P.271 - P.273

ポイント

★便秘は“disease”ではなく,“symptom”である.隠された病気はないか?
★野菜と食物繊維を十分に摂取する.和食が理想的な食事である.

★十分な睡眠と朝食摂取を心がけ,ストレスを溜めないようにする.

★便秘が原因となりうる疾患は高齢者に多く,特に高齢者の外来診察の際には問いかけが必要である.

下剤や便秘薬の濫用の問題点とその対処法

著者: 加藤公敏 ,   水野滋章 ,   森山光彦

ページ範囲:P.275 - P.277

ポイント

★人口高齢化により便秘による下剤の常用者は増加する傾向にある.

★神経性食思不振症あるいは神経性過食症など摂食障害における下剤濫用の頻度は高い.

★下剤濫用による電解質異常,酸性尿酸アンモニウム結石は注意すべき合併症である.

★食事と排便習慣の改善,運動についての指導により,便秘による下剤の常用を防ぐことが重要である.

便秘症に対する薬物療法

著者: 神谷武 ,   鹿野美千子 ,   城卓志

ページ範囲:P.279 - P.281

ポイント

★便秘症に対する薬物療法は,食事指導,生活指導に次いで行う補助的治療である.

★作用が緩徐な浸透圧性下剤や膨張性下剤を第一選択薬とし,少量から開始し漸増する.

★第一選択薬で効果不十分な場合は,作用機序の異なる薬剤を併用する.

★排便リズムが回復したら薬剤は漸減し,中止またはオンデマンド(頓用)を目標とする.

★大腸刺激性下剤はできるだけ短期間の使用とし,長期間の乱用は避ける.

便秘症に対する摘便や浣腸の適応・禁忌と手技の実際

著者: 加藤真吾 ,   屋嘉比康治

ページ範囲:P.282 - P.284

ポイント

★便秘の治療としての摘便・浣腸は,緩下剤により治療が奏効しない場合に施行する.

★摘便は浣腸より侵襲が大きいので,まず,浣腸を試みる.

★摘便・浣腸とも患者に対する心理的ストレスが大きいので,それぞれの手技の必要性を詳しく説明し,プライバシーの保護に努めることが大切である.

便通異常をきたしやすい病態と対処法

高齢者の便通異常―憩室症や虚血性大腸炎との関連も含め

著者: 髙本俊介 ,   三浦総一郎

ページ範囲:P.286 - P.289

ポイント

★便秘の頻度は加齢とともに増加し,二次性便秘,特に器質性便秘の除外が重要である.

★便秘の原因に対する治療とともに,水分や食物繊維の摂取,運動などの生活指導を行う.

★下痢もまた加齢とともに頻度が増加し,薬剤性下痢や炎症性腸疾患などの鑑別が重要である.

★高齢者では強力な下剤や止痢薬の投与により,虚血性腸炎を惹起する危険性がある.

便通異常の性差医療―妊娠を中心に

著者: 中尾絵美子 ,   飯塚文瑛

ページ範囲:P.290 - P.293

ポイント

★便秘は男性に比べ女性で高頻度である.性差を生じる主な原因としては,男性に比べ弱い腹筋や月経周期におけるホルモンの作用(月経ごとに月経前2週間が便秘傾向を増強すること)が挙げられる.

★妊婦においても,妊娠4カ月までおよび妊娠6カ月以降,便秘傾向となる.便秘の放置により痔疾患の原因・増悪因子となりうることはもちろん,流・早産の誘因となることもあり,早期からの適切な対処が必要である.

消化管術後の便通異常

著者: 福島浩平 ,   羽根田祥 ,   渡辺和宏

ページ範囲:P.295 - P.297

ポイント

★術後の便通異常では,原疾患,手術適応と術式,残存病変の有無,術後療法と病勢,切除臓器および切除量,再建術式をまず把握する.

★不明な点について,外科担当医や執刀医に相談することも参考になる.

★炎症性腸疾患の術後では,原疾患の再燃や回腸囊炎などの新たな粘膜炎症の出現が排便状況の変化に直結する.

過敏性腸症候群に伴う便通異常

著者: 本郷道夫 ,   金村政輝

ページ範囲:P.298 - P.301

ポイント

★過敏性腸症候群(IBS)は一般検査では症状の原因と同定できないが,徐々に解明が進んでいる.

★IBSは一般人口の15%に,消化器を中心とする医療機関受診者の30%に認められる.

★IBSの病態には,内臓知覚過敏と消化管運動機能異常とが深くかかわっている.

★IBSの診断には症状の聴取が重要である.

★IBSの治療は,対症療法を基本とするが,新しい治療薬の開発が進んでいる.

癌の治療に伴う便通異常―化学療法を中心に

著者: 関川高志 ,   野村憲弘 ,   松川正明

ページ範囲:P.302 - P.305

ポイント

★化学療法による便通異常は下痢が多い.

★下痢に対するマネジメントが重要である.

★放射線治療による便通異常は稀である.

薬剤の副作用としての便通異常

著者: 内藤裕二

ページ範囲:P.307 - P.311

ポイント

★薬剤の副作用としての下痢は,急速通過型下痢,浸透圧性下痢,分泌性下痢,滲出性下痢に分類される.

★薬剤性下痢の多くは軽症ですみ,その原因薬剤の中止で治癒する場合が多いが,偽膜性大腸炎,急性出血性大腸炎などの難治例もある.

★新しい薬剤を開始してから,便秘が出現または悪化した場合には,まず薬剤による副作用ではないかと疑うことが重要である.

★抗精神病薬,オピオイドなどの場合,開始時から緩下剤を併用し便秘対策をすることが重要である.

全身疾患に伴う便通異常

著者: 辰口篤志 ,   坂本長逸

ページ範囲:P.312 - P.314

ポイント

★各疾患において便通異常をきたす機序は異なり,同じ病気でも患者間で異なることがある.

★基本的には全身疾患の治療が,便通異常の改善につながる.反対に原疾患が治療抵抗性であると,便通異常も消化管作動薬のみでは限界がある.

★便通異常が起きている機序を理解し,患者の病態に応じた治療をこころがける.

座談会

日常診療で便通異常にどう対応するか

著者: 三浦総一郎 ,   千葉俊美 ,   今枝博之 ,   田代博一

ページ範囲:P.316 - P.327

下痢や便秘などの便通異常を訴えて一般内科を受診した患者へどのようにアプローチしたらよいのか.

本座談会では,消化管疾患の専門医で機能性消化管障害の研究者,総合診療という立場で内視鏡をされ消化器疾患をみておられる専門医,開業医の立場から,急性下痢の原因検索,慢性下痢の鑑別の進め方,慢性の便秘への対応について,自験例をご紹介いただきながらお話しいただいた.

似たような症状でも正反対の治療が必要な場合もある便通異常の奥深さ,疑われる原因に応じた検査の進め方,適切な治療薬の選択と調整,生活習慣の改善を含む患者説明,新しい薬剤開発への期待など,縦横無尽にご発言いただいた.

REVIEW & PREVIEW

PEG(経皮内視鏡的胃瘻造設術)の光と影

著者: 倉敏郎

ページ範囲:P.335 - P.337

 PEG(percutaneous endoscopic gastrostomy;経皮内視鏡的胃瘻造設術)は経腸栄養のアクセスとして第一選択となり,本邦における年間の造設件数は約20万件,カテーテル交換は約60万件といわれ,年々増加している.造設・交換・管理における安全性の追求が求められており,さまざまな工夫が各種の学会,研究会で報告され,そのレベルは世界で群を抜くと思われる.本稿では,PEGに関する最近のトピックスをレビューする.

連載 手を見て気づく内科疾患・38

爪甲色素線条:悪性黒色腫の鑑別が最も重要

著者: 松村正巳

ページ範囲:P.187 - P.187

患 者:65歳,男性

病 歴:8年前から関節リウマチにて外来通院中である.

身体所見:左母指に縦走する黒い帯状の線を認める(図1).

感染症フェローのシンガポール見聞録・2

トラベルクリニックと狂犬病

著者: 馳亮太

ページ範囲:P.189 - P.189

 Tan Tock Seng HospitalにはTravellers' Health & Vaccination Clinicという部署があり,シンガポール国内で最も大きなトラベルクリニックとして診療が行われています.Travel Medicineと言われても聞きなじみのない方が多いと思いますが,日本語では旅行医学や渡航医学と訳され,海外旅行に行く前のワクチン接種や薬の処方,旅行中の行動に関するアドバイスや,帰国後のフォローアップを広くカバーする学問です.

 このクリニックを統括するDr. Limの外来を1日見学させてもらいました.3時間で10件ほどの外来予約があり,受診理由は海外赴任前のワクチン相談,海外出張前のマラリア予防の相談,国外で動物に噛まれた人の狂犬病予防に関しての相談など,いろいろです.Dr. Limは,CDC(米国疾病予防管理センター)が発行するYellow Book(渡航医学の教科書)の地図や表を見せながらテキパキと診療を進めていきます.受診患者は,ビジネスマンや外務省職員が中心ですが,政府とも提携しているため,海外渡航前の各省の大臣も訪れることがあるそうです.

Festina lente

窮屈ということ

著者: 佐藤裕史

ページ範囲:P.333 - P.333

 英国に比べれば一目瞭然だが,同じ島国でもろくに平野のないところに大勢が住む日本では,空間的・物理的窮屈さは如何ともし難い.その窮屈さからせめて気分だけでも逃れようとする工夫には昔から事欠かずにきたようである.坪庭,盆栽,濡れ縁,襖に障子に屏風.ただこうした古来の工夫の多くは絶滅寸前で,その結果,空間的窮屈さに加えて心理的窮屈さも逃れ難いものになってきた.

 心身への有害性からすれば,心理的窮屈さは結構たちが悪い.言いたいことが言えない,板挟み,心ならずも嘘を強いられる,無理難題を背負い込む,等々.心理的窮屈さをうまくやり過ごせれば,筋緊張性頭痛,高血圧,うつ病,過敏性腸症候群の過半は相当軽快するのではないだろうか.窮屈さをせめて束の間忘れようと暴飲暴食する人はわんさといる(かくいう私も例外とはいえない)が,窮屈でなくなればその必要もなくなるから,胃潰瘍,肝機能障害,肥満,脂質異常症,耐糖能障害なども軽減することは想像に難くない.嫌な言葉だが「メタボリックシンドローム」なるものにしても,心理的窮屈さはその重要な一因の筈である.

演習・循環器診療・9

体液貯留・低ナトリウム血症の管理に難渋した虚血性心筋症の1例

著者: 今井靖 ,   稲島司

ページ範囲:P.338 - P.342

症例

64歳の男性.

現病歴 1989年10月(42歳)急性心筋梗塞(下壁)を発症,保存的に対処された.2005年10月(58歳)より狭心症症状出現,2006年1月当院を受診し,心臓カテーテル検査を施行.#1 100%,#7 100%,#12 75%と2枝完全閉塞を伴う3枝病変であり,かつ陳旧性心筋梗塞・低心機能であることから冠動脈バイパス術,左室縮小形成術,僧帽弁形成術を施行.2009年4月心不全,持続性心室頻拍のため入院.左脚ブロックを伴うNYHA III-IVの心不全であり,CRT-D(両心室ペーシング機能付植込み型除細動器)を植え込み.一時的に運動耐容能改善を認めたが,その後も心不全入院を繰り返すこととなり,2010年5月,11月,2011年3月,5月と合計4回心不全で入院し,利尿薬・ドブタミン投与で対応されていた.

 今回,再び飲水・食事制限が守れず体重が7kg増加し(退院時55.8kg→62.8kg),呼吸困難を呈したため2011年6月24日当科入院となった.

目でみるトレーニング

著者: 野路善博 ,   村尾敏 ,   河岸由紀男

ページ範囲:P.343 - P.348

アレルギー膠原病科×呼吸器内科合同カンファレンス・23

ANCA陽性血管炎の間質性肺炎

著者: 岡田正人 ,   仁多寅彦

ページ範囲:P.349 - P.353

後期研修医(アレルギー膠原病科) 今回の患者さんは原因不明の遷延する発熱で入院となった75歳の男性です.胸部CTにてNSIP(non-specific interstitial pneumonia)パターンの間質性肺炎があり,膠原病も疑われるとのことで当科に入院となりました.38℃台の発熱が2週間続いており,軽度の咳嗽と呼吸困難があります.初診時も軽度の労作でSpO2が90%程度になるため酸素吸入を開始しました.筋力低下や皮膚所見はなく,血液検査上は腎機能,筋原性酵素などは正常ですが,CRP,KL-6の上昇を認めています.今回入院の1年前に肝臓癌の手術で当院外科に入院しており,その際に胸部X線写真とCTを施行しています(図1).今回入院時の胸部X線写真(図2)と合わせて,所見はいかがでしょうか.

医事法の扉 内科編・14

医療訴訟のしくみ(4)

著者: 福永篤志 ,   松川英彦 ,   稲葉一人

ページ範囲:P.354 - P.355

 裁判(口頭弁論)は裁判長の指揮により始まります(民事訴訟法148条1項).このとき,事件名が呼び上げられます(民事訴訟規則62条).裁判長は,事案に関する事実関係について訴状・答弁書・準備書面をもとに,原告や被告に質問しながら訴訟関係を明らかにしていきます(法149条1項).

 さて,われわれ医師が出廷を余儀なくされるのは,前回触れた当事者尋問あるいは証人尋問の場面です.もし患者らに被告の一人として訴えられたら当事者尋問となり,仮に訴えられなくても当該医療事故にかかわったわけですから,証人尋問となり法廷に呼び出されます.このとき,必ずしも被告側の証人としてではなく原告側の証人として呼び出されることもあります.当事者ではなく証人にすぎない場合でも,尋問を正当な理由なく欠席したときには,10万円以下の過料(行政罰)または10万円以下の罰金または拘留→1(刑事罰)を科せられます(法192条1項,193条1項).

研修おたく 指導医になる・1【新連載】

New Year's Resolution―決意表明

著者: 白井敬祐

ページ範囲:P.357 - P.357

 皆さんはどのような“New Year's Resolution(新年の抱負)”を立てたでしょうか.本誌2011年12月号まで連載「研修おたく 海を渡る」でレジデントあるいはフェローの目から見たアメリカでの研修生活,がん診療について綴ってきました.今回から「研修おたく 指導医になる」とタイトルを替えて,研修医からの視点だけではなく,指導する立場からの気づきをshareできたらと考えています.指導する立場の方には教え上手になるきっかけを,また研修中の方には教えられ上手になるコツ(tips)をお伝えできればと考えています.ずいぶん昔に「教え上手,教えられ上手になるには?」*1(週刊医学界新聞 第2556号)と題して指導医としての心構えや研修医が必要な時に必要な指導を受けるためのコツについて書いたこともあります.時間があれば読んでいただけるとうれしいです.果たして今でも使えるでしょうか.

 アメリカで指導医になって数年がたちますが,その間に指導者としてのスキルを上げるために作られたThe Apple Tree Societyが主催するレクチャーのいくつかに参加する機会がありました.過去のレクチャーの様子はWeb*2で見ることができます.日本でも,指導医になってからいかに成長するか(faculty development)について,種々の取り組みが行われているようです.印象に残ったもの,おすすめのものを取り上げるなかで,日本での臨床,教育現場で使えるなにかを見つけていただければうれしいです.

書評

―〈『medicina』2011年増刊号〉―内科 疾患 インストラクションガイド―何をどう説明するか

著者: 山口徹

ページ範囲:P.214 - P.214

 医師の負担軽減が話題となっている.その原因として医師不足に議論が集中しているが,医師の負担増の背景には医学の急速な進歩,医療の専門分化という問題も存在している.高度に細分化された医療現場では,忙しい臨床に追われる医師にとって,自分の専門分野はともかく,他領域の進歩を学ぶことは容易ではない.しかし目前の患者は自分の専門外の問題を抱えていることも多く,説明を求められる機会は多かろう.専門書を紐解けばいいわけであろうが,その時間はないのが常である.また自らの医療についての患者への情報提供,インフォームド・コンセントにも,看護師などチーム医療のメンバーとの情報共有にも,時間が必要である.幾ら時間があっても足りない.そのような内科診療の現場に備えておくとよい1冊がこの特集である.

 本増刊号は「患者に何をどう説明するか」のガイドブックである.「どのような病気でしょうか」「どのような検査をするのでしょうか」「どのような治療がありますか」「日常生活ではどのような注意が必要ですか」「急変した場合どうしたらよいでしょうか」という患者からの5つの質問に答える形でまとめられている.患者への説明サンプルとその背景にある病態や治療指針,ガイドラインに関するコンパクトな解説がある.要領を得ていて過不足がない.さらに,「COPDは“治り”ますか?」,「どうしても透析だけはしたくないのですが…」,「インスリン注射は嫌です」,など130を超える患者の訴えなどにも専門家の経験に基づく一口メモが添えられている.内科疾患が網羅されているが,日常診療で出合うことの多い精神疾患,運動器疾患,皮膚疾患などの関連分野も取り上げられている.患者とのコミュニケーション術に関する話も冒頭にあり,参考になる.

―喜舎場朝和・遠藤和郎 監修 谷口智宏 執筆―感染症ケースファイル―ここまで活かせる グラム染色・血液培養

著者: 藤本卓司

ページ範囲:P.240 - P.240

 このたび沖縄県立中部病院の卒業生である谷口先生の手によって,感染症の学習を身近なものにしてくれる素晴らしい本が発刊された.「感染症をわかるようになりたい.でも繰り返して勉強してもなぜかうまく頭に入らない」と悩んでいる人は少なくないと思う.私自身も若い頃そのような数年間を過ごした経験をもつ一人である.感染症のとっつきにくさの原因の一つは,“相手(=原因微生物)の顔”が見えないことではないだろうか.臨床は五感を働かせて進めてゆくものであるから,もし自分の眼で原因微生物の姿を見ながら診療を進めることができれば,感染症診療はずいぶん身近に感じられるはずである.この本はグラム染色の素晴らしさ,特にグラム染色が臨床上の方針決定に直結する重要な情報源となることを教えてくれる.

 すべての症例が問題形式になっており,見開き2ページが問題に,3ページ目以降が解説にあてられている.問題文の右ページには検体のグラム染色写真が示されていて,読者は病歴,身体所見,初期検査のデータ,そしてグラム染色像を見ながら,「さあどうしよう?」と検査や治療の方針を考える,という仕様になっている.抗菌薬を始めるべきなのか,もし開始するならどの薬剤を選ぶのか,という判断にとどまらず,投与中の抗菌薬は効いているのか,続けてよいのか,変更すべきなのかなど,グラム染色の情報を基に考えを進めてゆく手順が丁寧に解説されている.そこでは感染症診療の基本事項や思考過程が症例ごとに省略されることなく何度も述べられていて,読者は症例をこなしながら繰り返して頭に叩き込むことができる.谷口先生の工夫を強く感じるのは抗菌薬の解説である.一つ一つの薬剤が症例に散りばめられて登場する.本をすべて読み終わってみると,いつの間にか抗菌薬もすべて勉強し終わっているという巧みな構成となっている.

―田邉晃久 編―心臓突然死を予知するための―不整脈ノンインベイシブ検査

著者: 杉本恒明

ページ範囲:P.244 - P.244

 大変興味深い本が上梓された.本書は今日,日常的に行われている体表面心電図に由来する検査記録が,突然死の予知にどこまで役に立っているのか,役立ち得るのか,現状を語り,将来を展望したものである.

 心臓性突然死の多くは電気的失調なのであるから,その前触れは心電図のどこかに潜んでいないだろうか,と考えるところである.第一に特異な心電図波形がある.QT延長症候群,QT短縮症候群,ブルガダ症候群などである.T波変動性(TWV)もその一つである.これらを検出するためには,各種の負荷試験が行われる.第二には,波形に秘められた微小な信号の検出がある.加算平均心電図,ウェーブレット変換解析などである.第三には,トリガーとしての自律神経機能変調がある.これには,心拍数変動性,heart rate turbulence(HRT)があり,圧受容体感受性や,ティルト試験の役割もある.

―松井敏幸・松本主之・青柳邦彦 編―小腸内視鏡所見から診断へのアプローチ

著者: 坂本長逸

ページ範囲:P.270 - P.270

 福岡大学の松井敏幸先生,青柳邦彦先生,九州大学の松本主之先生が『小腸内視鏡所見から診断へのアプローチ』と題した小腸疾患診断学の教科書を医学書院から出版した.ご存じの方が多いとは思うが,福岡大学,九州大学は小腸疾患の診療ではわが国をリードする大学であり,消化器疾患症例を1例1例大事に解析する手法はいまや両大学の伝統と言ってもいいであろう.同じく福岡大学の八尾恒良先生,九州大学の飯田三雄先生は2004年度に両大学の膨大なデータを集約し,これまでとは比較にならないぐらい広範な小腸臨床に関する学術書『小腸疾患の臨床』を出版したが,今回の『小腸内視鏡所見から診断へのアプローチ』はそれに続く両大学の小腸疾患診療に関する学術書第2編と言える.

 この2つの学術書の明確な違いは,2004年から7年を経て出版された『小腸内視鏡所見から診断へのアプローチ』では,小腸疾患画像診断学がこの間にいかに進歩したかを見てとれることであろう.さらに付け加えるなら,私はこの学術書ほど小腸疾患に関する画像を豊富に掲載している書物を知らない.豊富な症例と画像が本書の特徴であり,特筆すべきことと言える.つまり,疾患単位で記述された最初の小腸疾患学術書『小腸疾患の臨床』を,より実臨床に即して,今日のダブルバルーン小腸内視鏡,カプセル内視鏡画像とともに記述したのが本書と言える.

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米国内科学会(ACP)日本支部2012年総会・講演会のお知らせ

ページ範囲:P.206 - P.206

 米国内科学会(American College of Physicians:ACP)は,1915年創立の米国内科専門医会(ACP)と,1956年設立の米国内科学会(ASIM)が1998年に合併して誕生しました.現在,世界80カ国に13万人(医学生・研修医会員1.5万人を含む)の会員を有する国際的な内科学会で,最高水準の専門的な内科診療技術を育成し,医療の質を高め,医療をより効果的にすることを使命にしています.“Annals of Internal Medicine”を学会公式雑誌とし,年次学術総会,生涯教育(MKSAP),医療政策提言などさまざまな活動を行っています.ACP日本支部は,2003年にアメリカ大陸以外では初めて設立が許された支部で,会員数が1,000名を超え,医学生や研修医など若手会員が20%を占めるまでになっています.日本内科学会の総合内科専門医を有する内科医はACP正会員に,ACP正会員のうち要件を満たす者はFellow(FACP)の称号を申請できます.以来,毎年総会・講演会などの活動を行ってきました.

 本年も恒例の総会・講演会を開催します.ACPの会員であるなしにかかわらず,どなたでもご参加可能です.英語での発表が主ですが日本語の要約も提供されます.

日時●2012年4月14日(土)13:00~18:15

会場●京都大学時計台百年記念ホール

日本救急医学会「臨床研修医・医学生のための~救急セミナーのご案内~」

ページ範囲:P.248 - P.248

 このたび,日本救急医学会では,臨床研修医・医学生の皆さんに救急医学の魅力を感じていただくためのセミナーを下記のとおり企画いたしました.救急医の活躍する場は災害医療,集中治療室,手術室,ERと多岐にわたり広く社会に貢献しています.当日はさまざまな現場で働くプロフェッショナルな救急医が参加し,症例検討,クイズ,ディスカッションを通じて皆さんと語り合いたいと思います.

「自分の周囲には救急医がいないので,キャリアパスに不安がある…」「初期研修では重症救急に遭遇することが少なくて,そんな私が救急医の道を志しても大丈夫だろうか…」「救急医は激務で長く続けることができないのではないか…」「外傷も内因性疾患も,成人も小児も…幅広く診療できるだろうか…」

 さまざまな不安をおもちの皆さん,ご安心ください! セミナーで,さまざまな悩みを克服してきた救急科専門医たちと心ゆくまで語り合いましょう!!

日時●2012年3月17日(土)13~18時

場所●東京医科歯科大学湯島キャンパス5号館4階特別講堂(東京都文京区湯島)

第78回消化器心身医学研究会学術集会のご案内

ページ範囲:P.255 - P.255

 第78回消化器心身医学研究会学術集会を下記の通り開催致します.今回は「FDは心身症か?―原因・診断・治療の観点から―」をテーマとしておりますが,そのほかに消化器領域の心身医学的諸問題に関して,広く一般演題を募集しております.一般演題の中から《優秀賞》を授与しますので,奮ってご応募いただきたくご案内申し上げます.消化器心身医学研究会代表幹事・金子 宏

会長●埼玉医科大学総合医療センター消化器・肝臓内科教授 屋嘉比康治

岩手医科大学内科学講座消化器・肝臓内科分野准教授 千葉俊美

日時●2012年4月20日(金)17:00~20:00(予定)

*第98回日本消化器病学会総会会期:2012年4月19日(木)~21日(土)

会場●パークハイアット東京(東京都新宿区西新宿)

第5回EM Alliance Meetingのお知らせ

ページ範囲:P.327 - P.327

 恒例となって参りました,ER型救急を目指す若手救急医の集い,第5回EM Alliance Meetingを開催致します.明日からの診療に役に立ち,なおかつ面白い内容を企画しています.日本全国各地でER型救急を行っている仲間とともに学び,ともに語り合い,明日からの活力にしましょう.

 日本におけるER型救急を代表するお一人である,皆様ご存知,林寛之先生を迎えて今回も充実した内容で皆様の参加をお待ちしています.

 マイナーエコーのハンズオンは欧米の救急超音波の教科書に書かれてはいるものの実際に教えてくれる人があまりいない項目である眼球,気胸,軟部組織に焦点を合わせてEMAメンバーよりお届けします.Journal ClubはEMAホームページのJournal Club運営メンバーが満を持してお届けします.Journalの読み方がイマイチよくわからない,Journal Clubのやり方がよくわからないという方は必見です.

 救急に携わっている方も興味がある方も,医学生,研修医,指導医問わず日本全国から皆様の参加を心よりお待ちしています.

日時●2012年2月25日(土曜)12時30分~18時 その後,懇親会

場所●名古屋第二赤十字病院

愛知県名古屋市昭和区妙見町2番地9

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バックナンバーのご案内

ページ範囲:P.364 - P.365

購読申し込み書

ページ範囲:P.366 - P.366

次号予告

ページ範囲:P.367 - P.367

編集室より

著者:

ページ範囲:P.368 - P.368

●本が好きという理由で出版社へ就職したものの,急激に加速する電子化に脅威と戸惑いを感じています.『もうすぐ絶滅するという紙の書物について』(阪急コミュニケーションズ)を取り寄せながらも,本棚に飾ったまま年が明けてしまいました.そんな私に,進化論を唱えたチャールズ・ダーウィンによる「唯一生き残るのは,変化できるものである」という言葉が重くのしかかります.●電子書籍や電子ジャーナルに期待されるのは検索しやすさ,情報へのアクセスのよさでしょう.たしかにそれは紙媒体にはない大きなメリットですが,一方で「探しているものしか見つからない」というデメリットの大きさも無視できません.「疑わなくては,見逃す」とは,診断の過程で内科の先生方が異口同音に伝え続けておられることです.大切なのはツールのみならず,伝えるべき内容であることを肝に銘じ,読者の先生方のお役に立つ出版を探り続けて参りたいと願います.●電子出版の一環として,「内科医の道」というweb onlyの企画がリリースされました.第一線で活躍中の方々が内科医としての心構えや教訓など,日頃の想いを綴ったエッセイ集です.無料で閲覧いただけますので,どうぞお気軽に特設サイト(http://medicalfinder.jp/ejournal/top-XXXX1001.html)へアクセスなさってください.

基本情報

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出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1189

印刷版ISSN 0025-7699

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