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文献詳細

雑誌文献

medicina49巻3号

2012年03月発行

文献概要

連載 医事法の扉 内科編・15

医療訴訟のしくみ(5)

著者: 福永篤志1 松川英彦2 稲葉一人3

所属機関: 1国家公務員共済組合連合会 立川病院脳神経外科 2国家公務員共済組合連合会 立川病院内科 3中京大学法科大学院

ページ範囲:P.536 - P.537

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 医療訴訟の審理は,通常の民事裁判よりも長期間に及びます.裁判所ホームページに公開されている資料によれば,2010(平成22)年度は,通常の民事裁判の平均審理期間が8.3カ月だったのに対し,医療訴訟は24.9カ月と報告されています.1993(平成5)年度は42.3カ月だったので,争点の整理や集中証拠調べを行い裁判所も努力をした結果,約半減してはいますが,2007(平成19)年度の23.9カ月を底値として,これ以上の短縮化は厳しそうです.このように約2年間も長引いてしまうのは,やはり医療紛争から訴訟へと進展してしまった事案は,患者側と医療側の双方に相当な主張があり,お互いがなかなか引き下がれないということと,医療訴訟の専門性・閉鎖性といった特殊性のために鑑定人などが必要となり,事実認定や法的判断に十分な時間を要するからでしょう.

 さて,判決の前に「和解」について解説しましょう.

参考文献

1)中村勝己:医療裁判の現状と課題―法律家の視点から.日集中医誌15:497-502, 2008

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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