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基礎研究の知見を腎臓病診療に生かす
著者: 高折光司1 柳田素子1
所属機関: 1京都大学大学院医学研究科腎臓内科学講座
ページ範囲:P.904 - P.906
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社会の超高齢化や糖尿病患者の増加などに伴い,本邦での血液透析患者は年々増加している.透析患者の増加は医療経済上も大きな問題となっており,末期腎不全の予備軍としての慢性腎臓病(chronic kidney disease:CKD)の概念が近年注目されるようになってきた.日本腎臓学会の統計によると,日本国内のCKD患者は1,330万人と推定されており,成人の8人に1人が相当し,現在の国民病といえる.また,CKDは末期腎不全のリスク因子であるだけでなく,心血管疾患(cardiovascular disease:CVD)の発症リスクでもあり,生命予後の低下の一因となっている.腎臓病の早期診断や早期の治療介入により,末期腎不全への移行やCVDの発症を抑制させることがCKDの概念を定着させる重要な目的の一つである1).
CKDが進行したときに共通してみられる所見として,腎臓の線維化や腎性貧血が挙げられるが,これらの病変は進行すると不可逆的な変化になり,既存の治療では治すことができない.腎性貧血の治療薬として,赤血球生成促進薬が現在使用されているが,根治的な治療法にはなっておらず,また頻回に使用する必要があるために,医療経済上も大きな問題となっている.
社会の超高齢化や糖尿病患者の増加などに伴い,本邦での血液透析患者は年々増加している.透析患者の増加は医療経済上も大きな問題となっており,末期腎不全の予備軍としての慢性腎臓病(chronic kidney disease:CKD)の概念が近年注目されるようになってきた.日本腎臓学会の統計によると,日本国内のCKD患者は1,330万人と推定されており,成人の8人に1人が相当し,現在の国民病といえる.また,CKDは末期腎不全のリスク因子であるだけでなく,心血管疾患(cardiovascular disease:CVD)の発症リスクでもあり,生命予後の低下の一因となっている.腎臓病の早期診断や早期の治療介入により,末期腎不全への移行やCVDの発症を抑制させることがCKDの概念を定着させる重要な目的の一つである1).
CKDが進行したときに共通してみられる所見として,腎臓の線維化や腎性貧血が挙げられるが,これらの病変は進行すると不可逆的な変化になり,既存の治療では治すことができない.腎性貧血の治療薬として,赤血球生成促進薬が現在使用されているが,根治的な治療法にはなっておらず,また頻回に使用する必要があるために,医療経済上も大きな問題となっている.
参考文献
1)日本腎臓学会(編):エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2009, 東京医学社,2009
2)Boor P, et al:Renal fibrosis;Novel insights into mechanisms and therapeutic targets. Nat Rev Nephrol 6:643-656, 2010
3)Obara N, et al:Repression via the GATA box is essential for tissue-specific erythropoietin gene expression. Blood 111:5223-5232, 2008
4)Le Douarin NM, et al:Experimental analysis of the migration and differentiation of neuroblasts of the autonomic nervous system and of neurectodermal mesenchymal derivatives, using a biological cell marking technique. Dev Biol 41:162-184, 1974
5)Yamauchi Y, et al:A novel transgenic technique that allows specific marking of the neural crest cell lineage in mice. Dev Biol 212:191-203, 1999
6)Asada N, et al:Dysfunction of fibroblasts of extrarenal origin underlies renal fibrosis and renal anemia in mice. J Clin Invest 121:3981-3990, 2011
7)Melamed ML, et al:Raloxifene, a selective estrogen receptor modulator, is renoprotective;A post-hoc analysis. Kidney Int 79:241-249, 2011
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