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連載 Festina lente
忍ぶれど色に出にけり
著者: 佐藤裕史1
所属機関: 1慶應義塾大学医学部クリニカルリサーチセンター
ページ範囲:P.903 - P.903
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医学は徹頭徹尾実学だから,生死や苦痛に直結しないことにまで関心を払う暇があまりない.しかしベルリン封鎖の頃ドイツで味覚研究に従事していた耳鼻科医から昔聞いた話では,英米的な実益重視路線とは異なってドイツは学問的体系性を何より重んじるので,味覚研究ではドイツが強いそうである(味覚異常は生命予後に直結しないが,舌の機能の一つであるのだから徹底的に探求すべし,ということ).色彩とそれにまつわる心理にしても,光覚そのものを失うことの圧倒的な不利益を考えれば,重症の視力障害とその心理的影響に対する研究のほうを優先するのは道理であるし,実際そうなってきただろう.
医学は徹頭徹尾実学だから,生死や苦痛に直結しないことにまで関心を払う暇があまりない.しかしベルリン封鎖の頃ドイツで味覚研究に従事していた耳鼻科医から昔聞いた話では,英米的な実益重視路線とは異なってドイツは学問的体系性を何より重んじるので,味覚研究ではドイツが強いそうである(味覚異常は生命予後に直結しないが,舌の機能の一つであるのだから徹底的に探求すべし,ということ).色彩とそれにまつわる心理にしても,光覚そのものを失うことの圧倒的な不利益を考えれば,重症の視力障害とその心理的影響に対する研究のほうを優先するのは道理であるし,実際そうなってきただろう.
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