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文献詳細

雑誌文献

medicina49巻6号

2012年06月発行

文献概要

REVIEW & PREVIEW

EBMと診療ガイドライン

著者: 中山健夫1

所属機関: 1京都大学大学院医学研究科社会健康医学系専攻健康情報学分野

ページ範囲:P.1079 - P.1081

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最近の動向

 近年,医療の各領域において根拠に基づく医療(evidence-based medicine:EBM)の考え方,さらにEBMを用いた診療ガイドラインの作成・利用が普及しつつある.診療ガイドラインは米国医学研究所の定義によると「特定の臨床状況のもとで,臨床家と患者の意思決定を支援する目的で,系統的に作成された文書」(1990)であり,そして「エビデンスのシステマティックレビューに基づき,患者ケアの最適化を目的とする推奨を含む声明書」(2011)である.診療ガイドラインの作成方法としては,EBMの精緻な方法論を基盤としたGRADE法が注目されている1)

 現在,国内では公益財団法人日本医療機能評価機構の医療情報サービス事業(Minds)が,各領域の根拠に基づく診療ガイドラインや関連情報を提供している.サービス利用は医療者・非医療者問わず無料であり,重要かつ有用な医療情報源として整備されつつある(図1).

参考文献

1)Atkins D, et al;GRADE working group:Grading quality of evidence and strength of recommendations. BMJ 328:1490, 2004 [doi:10.1136/bmj 0.328.7454.1490]
2)Haynes RB, Devereaux PJ, Guyatt GH:Physicians' and patients' choices in evidence based practice. BMJ 324:1350, 2002
3)長澤道行,中山健夫,津谷喜一郎:診療ガイドラインの新たな法的課題.日本医事新報 4504:54-64, 2010
4)稲葉一人:診療ガイドラインと法・第一研究:医療過誤事件数と取り上げられた判決数に関する研究.厚生労働科学 「今後のEBM普及促進に向けた診療ガイドラインの役割と可能性に関する研究」(代表研究者・中山健夫)2010年度報告書,pp 39-41, 2010
5)Farquhar CM, Kofa EW, Slutsky JR:Clinicians' Attitudes to Clinical Practice Guidelines. Med J Aust 177:502-506, 2003
6)Higashi T, Nakayama T, Fukuhara S, et al:Opinions of Japanese rheumatology physicians regarding clinical practice guidelines. Int J Qual Health Care 22:78-85, 2010
7)Hurwitz B:Legal and political considerations of clinical practice guidelines. BMJ 318:661-664, 1999
8)中山健夫:プラタナス・診療ガイドラインの今,これから.日本医事新報4639:1, 2008
9)稲葉一人:インフォームド・コンセントを充実させるためのガイドライン.厚生労働科学 「EBMを指向した『診療ガイドライン』と医学データベースに利用される『構造化抄録』作成の方法論の開発とそれらの受容性に関する研究」(主任研究者・中山健夫)2002年度報告書,pp 50-58, 2002
10)Whitney SN, McGuire AL, McCullough LB:A typology of shared decision making, informed consent, and simple consent. Ann Intern Med 140:54-59, 2004

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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