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今月の主題 肝硬変update―より良き診療のために
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著者: 福井博1
所属機関: 1奈良県立医科大学第3内科
ページ範囲:P.1113 - P.1113
文献購入ページに移動肝臓が「沈黙の臓器」と言われるのはこの死に至る病が無症状のうちに進むからです.多くの患者さんと向き合う医療現場で私たちは「専門医との出会いがあまりに遅い」という無念の思いを噛み締め,救命のための努力を重ねる一方で,1例1例の問題点を分析しています.肝硬変は八方手を尽くして治療すべき疾患であり,かつ確実に予防できる疾患でもあります.肝硬変の予防は肝癌の撲滅に直結します.線維化の機序が解明され,抗ウイルス薬などの新薬の開発が相次ぐなか,肝硬変が「治りうる」疾患へと変貌しつつあることは疑いを入れません.しかし,この医学研究のめざましい成果を一人一人の患者さんに本当に還元するためには一般医と専門医のさらなる連携が必要であり,そこで初めて本症の予防,早期発見,適切な治療が現実のものになることを強調したいと思います.
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