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今月の主題 肝硬変update―より良き診療のために 肝硬変合併症の治療
肝腎症候群の治療
著者: 植村正人1 福井博1
所属機関: 1奈良県立医科大学第3内科
ページ範囲:P.1212 - P.1216
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★肝硬変腹水の経過中,Cr 1.5mg/dl 以上,少なくとも2日間以上の利尿薬中止とAlb投与後,血清Crが低下しない場合,肝腎症候群(HRS)を疑う.ショック,腎実質障害,腎毒性薬物投与がないことを確認する.
★1型HRSは急速進行性腎不全であり,しばしば特発性細菌性腹膜炎(SBP)に続発する.2型は緩徐な経過をとり,難治性腹水を伴うことが多い.
★肝硬変末期の腎循環は,血管収縮性と血管拡張性物質の均衡のうえに保持されているが,血管収縮性に傾くとHRSにつながる.
★1型HRSの治療は,Albと血管収縮薬の併用投与が有効であり,TIPSも予後改善につながる.肝移植は予後を改善させる.
★HRS予防には,SBPの発症予防,SBP発症時の抗菌薬とAlb併用が有効である.脱水,過度の利尿薬投与,非ステロイド性抗炎症薬の投与を避ける.
★肝硬変腹水の経過中,Cr 1.5mg/d
★1型HRSは急速進行性腎不全であり,しばしば特発性細菌性腹膜炎(SBP)に続発する.2型は緩徐な経過をとり,難治性腹水を伴うことが多い.
★肝硬変末期の腎循環は,血管収縮性と血管拡張性物質の均衡のうえに保持されているが,血管収縮性に傾くとHRSにつながる.
★1型HRSの治療は,Albと血管収縮薬の併用投与が有効であり,TIPSも予後改善につながる.肝移植は予後を改善させる.
★HRS予防には,SBPの発症予防,SBP発症時の抗菌薬とAlb併用が有効である.脱水,過度の利尿薬投与,非ステロイド性抗炎症薬の投与を避ける.
参考文献
1)福井 博:肝硬変の合併症.肝胆膵64:327-333, 2012
2)European Association for the Study of the Liver:EASL clinical practice guidelines on the management of ascites, spontaneous bacterial peritonitis, and hepatorenal syndrome in cirrhosis. J Hepatol 53:397-417, 2010
3)Guevara M, Arroyo V:Hepatorenal syndrome. Expert Opin Pharmacother 12:1405-1417, 2011
4)Gin's P, Schrier RW:Renal failure in cirrhosis. N Engl J Med 361:1279-1290, 2009
5)Salerno F, et al:Diagnosis, prevention and treatment of hepatorenal syndrome in cirrhosis. Gut 56:1310-1318, 2007
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