文献詳細
書評
―神田善伸 著―EZRでやさしく学ぶ統計学―EBMの実践から臨床研究まで フリーアクセス
著者: 中澤港1
所属機関: 1神戸大学大学院保健学研究科
ページ範囲:P.1401 - P.1401
文献概要
通常,「アクティブデータセット」というメニューでデータハンドリングし(第6章),「グラフ」でさまざまなグラフを作り,「統計解析」というメニューでデータ解析を行う.EZRの最大の特徴として,統計解析の体系がデータの種類(尺度の性質)ごとに整理されている点が挙げられる.このことにより,EZRはきわめて実践的なデータ解析環境となっている.例えば,一般の教科書とは違って,クロス集計による独立性の検定も,対応のある2群の割合を比較するマクネマー検定も,ロジスティック回帰分析も,同じ「名義変数の解析」というメニュー(第7章)から選択できる.しかも,本書はたんなるEZRの操作マニュアルではなく,解析方法の仕組みや意味まで書かれており,実行例として示されているデータも著者自身がすでに研究し論文として受理されたものに基づいているので,医学統計演習の教科書としても使えるし,リファレンスとして引用することもできる.Rmcdrのカスタマイズの方法まで1章が割かれており,中級以上のRユーザであっても勉強になる点が多い良書である.
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