文献詳細
文献概要
今月の主題 内科診断の本道―病歴と身体診察情報からどこまでわかるか?
扉
著者: 福原俊一1
所属機関: 1京都大学医学研究科医療疫学
ページ範囲:P.1479 - P.1479
文献購入ページに移動 『誰も教えてくれなかった診断学』(医学書院)1)を上辞してからたった4年しか経っていないが,この間,「診断推論」という用語と概念が日本の臨床医に急速に浸透したことは,うれしい驚きである.
思い起こせば4~5年前には,「患者の話を聞き,仮説を考え,診察をし,仮説を絞り込み,検査をし,検査の結果を解釈する」という仮説演繹法的な診断アプローチは,わが国にほとんど普及していなかった.それまで医学生や研修医に教育されてきた方法は,主に検査に依拠した「徹底的検討法」あるいは「アルゴリズム法」が主流であった.この方法が日本で長く教えられてきたのは,おそらく明治初期にドイツ医学を輸入したことにその源があるのかもしれない.一方,仮説演繹法を用いた診断推論アプローチの源は,イギリスの「病院医学」2)にあると推測される.実は,このことは診断あるいは臨床だけでなく,臨床研究にも当てはまる.「とにかくデータを集めてから分析する.要はどのような統計解析技術を駆使するかで決まる」という考え方が,わが国の医学研究文化に根強い.アメリカは2つの医学をバランス良く取り入れたために,現在も独り勝ちの様相を呈している,というのが井口先生2)のお考えであり,私も同感である.ちなみにわが国の臨床研究発信力は世界23位に転落している.
思い起こせば4~5年前には,「患者の話を聞き,仮説を考え,診察をし,仮説を絞り込み,検査をし,検査の結果を解釈する」という仮説演繹法的な診断アプローチは,わが国にほとんど普及していなかった.それまで医学生や研修医に教育されてきた方法は,主に検査に依拠した「徹底的検討法」あるいは「アルゴリズム法」が主流であった.この方法が日本で長く教えられてきたのは,おそらく明治初期にドイツ医学を輸入したことにその源があるのかもしれない.一方,仮説演繹法を用いた診断推論アプローチの源は,イギリスの「病院医学」2)にあると推測される.実は,このことは診断あるいは臨床だけでなく,臨床研究にも当てはまる.「とにかくデータを集めてから分析する.要はどのような統計解析技術を駆使するかで決まる」という考え方が,わが国の医学研究文化に根強い.アメリカは2つの医学をバランス良く取り入れたために,現在も独り勝ちの様相を呈している,というのが井口先生2)のお考えであり,私も同感である.ちなみにわが国の臨床研究発信力は世界23位に転落している.
掲載誌情報