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文献詳細

雑誌文献

medicina5巻1号

1968年01月発行

臨床メモ

痔—その効果的処置

著者: 隅越幸男1

所属機関: 1社会保険中央総合病院肛門病センター

ページ範囲:P.98 - P.98

文献概要

 痔の症状は,大別すると出血,疼痛,脱出の三つである。出血,疼痛を訴え,たいして脱出のない,一,二度の痔核は,便通を調整し,局所を清潔にし,血流をよくしておく,いわゆる肛門衛生に留意し,あわせて坐薬,軟膏,内服薬など,保存的処置によつて十分改善されるものである。痔といえば,すぐ注射,手術を考えることはよくないことで,悪化した発作状態,すなわち肛門部のうつ血がとれれば疼痛もなくなり,自然に止血するものである。肛門静脈叢の病変が,リバーシブルの間は上記の保存療法を行なうべきである。発作をくりかえして長い間に慢性化して静脈壁およびその周辺の支持組織が弛緩してしまうと肛門外に全周が脱出をきたし,立つていても,歩行していても出てくるようになると,これは切り取る以外に方法はない。しかしこの場合でも特別に本人が苦痛を感じなければあえて手術を必要とすることはない。かりに手術をするにしても,結紮切除法でまつたく簡単に,疼痛少なく,後遺症もなく治癒するので,昔の痔の手術を考えると,うそのようである。
 保存的処置として注意すべき点は,急に肛門に疼痛を訴えて脱出したさいで,これに二通り考えておく。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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