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文献詳細

雑誌文献

medicina5巻1号

1968年01月発行

臨床メモ

"忘れつぽい"とは

著者: 浦田卓

ページ範囲:P.112 - P.112

文献概要

 おもしろいことに,生理的な"忘れつぽい"現象が訪れるのは,がん年齢つまり45歳前後のようである。もちろんがんを生理的なものというわけではないが,生体のコントロールのしくみの衰えの一つの現われとみなせば"忘れつぽい"も生体のコントロールのしくみの衰えであるといえるからして,"忘れつぽい"とがんを,人生のたそがれを示唆する,精神的機能と身体的機能のそれぞれの二大失調症状といえなくもなかろう。
 こういう観点にたつ人たちは,"忘れつぽい"という現象の進行度は,脳の動脈硬化の進展度とある程度平行している,と画一的に推測する。しかし,こういつた説に不利な実験もないではない。たとえば,アメリカで行なわれた実験であるが,生活そのものがかかつている仕事についている70歳以上の老人に,まつたく意味のない乱数表を見せ,これをある一定期間に記憶してこなければ馘首する,と脅したところ,若い人に比べてまつたく遜色のない成績をあげたという。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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