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文献詳細

雑誌文献

medicina5巻10号

1968年10月発行

文献概要

検査データどう読みどうする?

血中間接ビリルビン

著者: 屋形稔1

所属機関: 1新大中検

ページ範囲:P.1154 - P.1154

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間接ビリルビンと直接ビリルビン
 血中ビリルビンのなかで間接ビリルビン(以下間接ビ)は一名hemobilirubinとよばれる.これは間接ビが主としてHbの代謝によってできた色素であるからである.水に不溶性で腎からは排泄されない(尿ビ陰性),これが安息香酸ソーダやメタノールによってジアゾ試薬と反応しうる.一方,ジアゾ試薬に直接反応する直接ビリルビン(cho-lebilirubin)は,間接ビが肝細胞にとりこまれグルクロン酸抱合されたものが大部分で,水溶性で腎から排出される(尿ビ陽性).この両者をあわせて総ビリルビンとよぶが,間接型と直接型に分かれるゆえんについてはまだ確定されていない1)
 臨床的には黄疸の病因上から溶血性では間接ビ,肝胆道障害では直接ビの増加というふうに考えられるが,一方のみの増加を期待しては診断に役だてえないことも多い.たとえば閉塞性黄疸では一般に直接ビが増加するといわれているが,黄疸がながびくと直接ビとともに間接ビも増加する.また間接ビのみで起こると考えられる溶血性黄疸でも,溶血発作が顕著でひんぱんであると胆細管の胆汁閉塞を起こして直接ビが出現してくる(ただしこの場合総ビの15%以上にはならないといわれる).いずれにしろ血中ビのなかのこの両分画の優劣は,他の肝機能検査を参照して鑑別診断に資するときはじめて有意義なデータを提供するものといえよう.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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