文献詳細
くすりの効きめ・10
文献概要
薬のゆくえは糸のきれたタコのようなもの
へたな鉄砲も数打ちゃ当たるという教訓がある.鉄砲玉のようにたいへんなスピードで,かつまっすぐに飛んでいくものでも,打ち手がへたくそだとなかなか当たらないものだということである.どうしてこんな話を冒頭にもってきたかというと,薬を内服して病気を治すという現象が,鉄砲打ちが鉄砲玉を獲物に当てることよりもずっと複雑だということに日本の臨床家が早く気づかなくてはいけないということがいいたいからである.
私はかつてある薬学者たちの集まりで製薬会社は少なくとも自社の製品については,それがどのような形で血中にあって,どのような形で尿中へ出るかぐらいはつかんでおいてほしいものだという希望を述べて笑われた経験があるが,将来はともかく現在大部分の薬はどこを通って,どうなってどう身体の外へ出ているものやらをわからせることが至難の業なのである.
へたな鉄砲も数打ちゃ当たるという教訓がある.鉄砲玉のようにたいへんなスピードで,かつまっすぐに飛んでいくものでも,打ち手がへたくそだとなかなか当たらないものだということである.どうしてこんな話を冒頭にもってきたかというと,薬を内服して病気を治すという現象が,鉄砲打ちが鉄砲玉を獲物に当てることよりもずっと複雑だということに日本の臨床家が早く気づかなくてはいけないということがいいたいからである.
私はかつてある薬学者たちの集まりで製薬会社は少なくとも自社の製品については,それがどのような形で血中にあって,どのような形で尿中へ出るかぐらいはつかんでおいてほしいものだという希望を述べて笑われた経験があるが,将来はともかく現在大部分の薬はどこを通って,どうなってどう身体の外へ出ているものやらをわからせることが至難の業なのである.
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