文献詳細
グラフ レントゲンの読み方・1
文献概要
胸の写真をみて,心臓にも呼吸器(胸膜・肺臓)にも病的所見を同時にみいだす例は少なくない.その場合,両者の原因が全く無関係なケースも,単一の原因が両者に病変をきたしているケース(たとえば腹部腫瘍からの転移,膠原病,結核による心膜病変と肺病変)もないではないが,一方が一次的で他方がそれに基づく二次的病変であるケースが多い,そのうち肺病変に基づく心病変としては原発性肺癌の心膜腔侵襲があり,"肺性心"もよく知られているが,もっと頻度の多いのは心臓あるいは循環器病変に基づく胸膜・肺臓の病変である.このいわゆる"cardiac lung"は一般病院では呼吸器の結核,腫瘍などよりも高頻度にみられるかと思う.問題はそれが呼吸器の炎症病変などと誤診される可能性,またそれが循環器患者における心不全あるいは重症度を判断する根拠としての重要性であろう.
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