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文献詳細

雑誌文献

medicina5巻11号

1968年11月発行

文献概要

ファースト・エイド

肝性昏睡

著者: 村上精次1

所属機関: 1国立熱海病院内科

ページ範囲:P.1346 - P.1347

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他の昏睡と肝性昏睡の鑑別方法
 肝性昏睡患者に遭遇したさいに,まずなすべきことは,他の昏睡との鑑別であろう.一般に肝性昏睡は激症肝炎あるいは重症肝硬変の末期および精神症状を反復する特殊型にみられるが,激症肝炎にみられる場合はその他の症状から鑑別は比較的容易である.後2者の場合には,それ以前の病歴が明らかな場合は別として,ときに鑑別の困難なことがある.飲酒後に肝性昏睡が続発し,酩酊と切迫昏睡とが混同され見すごされる場合もあり,また切迫昏睡時に見当識の失調,すなわち所きらわず放尿・脱糞したり,時間の意識が失われたり,器具の用法をまちがえたりするようなことから,他の精神異常と混同され,精神科病棟に入院させられていることもけっしてまれなことではない.これらの時期に比較的確実に,また早急に他の昏睡と鑑別する方法としては,BSP試験あるいはICG試験(インドシアニングリーン)があげられる.
 BSP試験においては,ほぼ1時間以内に,ICG試験においては30分以内にその結果を入手することが可能であるから,これらの試験はその疑いがあるさいはぜひ行なうべきものと考えられる.採血にヘパリンなどの抗凝固剤を使用すれば,いっそう早期に結果を入手することが可能である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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