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Medicina CPC・第5回
癌性ノイロパチー—討議
著者: 本多虔夫1 金上晴夫2 福永昇3 田崎義昭4
所属機関: 1横浜市民病院内科 2国立がんセンター呼吸器科 3東邦大病理 4東邦大内科
ページ範囲:P.1487 - P.1492
文献購入ページに移動田崎 この症例のポイントをあげてみますと,67歳の男で,主訴は歩行障害です.41年の5月29日,比較的急速に歩行障害が出てきて,ろれつもまわらなくなった.それから左上肢もふるえるということで入院してきました.
旺往歴は以前に高血圧を指摘されたということです.入院時の所見では,意識はほぼ清明で,いろいろな神経症状がございます.まず,構語障害がある.それから舌と下顎の不随意運動,これはかなり大きなふるえとして認められております.水平性眼振,運動失調もありました.右側でfinger-nose test,heel-shin testが下手で,dysdiadochokinesisもありました,歩行はよろめいてうまく歩けない.つかまって歩くか,やっと歩けるという程度だったと思います.腱反射は左側で亢進しているけれども,病的反射はないし,知覚異常もなにもないということです.入院時はそんなところで,これはなにか神経病だと思ったんですけれども,胸の写真を撮ったところが,異常陰影があったということです.経過では胸の異常陰影にコバルト照射を行なっております.コバルト照射をやってからわりあいと歩行失調もよくなったし,眼振も一時ほとんど取れてきたということです.しかし胸部の陰影はふたたびだんだん大きくなりまして,運動失調もふたたび強くなり起きあがることもできなくなってしまった.
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