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文献詳細

雑誌文献

medicina5巻2号

1968年02月発行

文献概要

くすりの効きめ・2

降圧剤—血圧を下げるという作用

著者: 鈴木哲哉1

所属機関: 1実中研医学研究所

ページ範囲:P.251 - P.253

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降圧剤にさきをこされた高血圧の原因究明
 いまから約20年前,まだ宇宙ロケットが一部の学者たちの夢にすぎなかつたころ,高血圧の専門家たちがその病因の追究に色めきだつていた。当時もつとも有力視されていた起因物質は交感神経系の化学伝達体であるカテコールアミン類(アドレナリン,ノルアドレナリンなど)と,今世紀の始まる2年前にすでに報告されたレニン酵素とであつたが,実験医学,生理学,循環器などの雑誌は毎号この報告で賑わい,学者たちは自らの手による解決の日も近いと思つていたのである。ところが地球から放つた宇宙ロケットが月に軟着陸してその表面で3メートルも飛び上がつたというこんにち,ほとんどの学者たちが高血圧の原因を究明することに興味を失つてしまつている。高血圧の原因の解明より一足おさきに降圧剤がほとんど完全なほどに完成してしまつたからである。(最近ある本で,血圧は上がるべくして上がつているのだからこれをむりに下げるという考えは誤りだというような説を読んで驚いたのだが,生体には変化に適応する能力があるから,動脈硬化そのほかいくつかの点を注意すれば,血圧は下がるものなら下げるべきである。)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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