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文献詳細

雑誌文献

medicina5巻3号

1968年03月発行

文献概要

治療のポイント

腎と高血圧・1—腎不全を伴う悪性高血圧症の処置

著者: 尾前照雄1

所属機関: 1九大勝木内科

ページ範囲:P.357 - P.358

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全身状態と腎機能の推移につねに注意を
 腎不全を伴う悪性高血圧症は高血圧症の最重症型であり,治療にもいちじるしく抵抗する場合が多い。従来から,腎機能障害がきわめて高度な場合は,降圧療法の適応とはならず,むしろ禁忌と考えるものが少なくなかつた。たとえばPickeringらによると,BUN 100mg/dl以下の場合は治療するがよいが,それ以上のものは数カ月以内のうちに死亡するものが多いとし,最近WoodsおよびBlytheはBUN 50mg/dl以上の悪性高血圧症を治療した成績を示し,強力な降圧療法を行なうことは,寿命をのばし,腎機能はむしろ好転する場合のほうが多いと述べた。悪性高血圧症患者の死因として欧米では一般に尿毒症死がもつとも多く,心不全と脳卒中死がそれにつぐとされているが,筆者らは本邦では脳卒中死が少なくないことに注目してきた。腎不全ある場合の降圧療法の目的は,腎障害の進行を防止するとともに心臓の機能的負担を軽減し,そのさいの基本的血管病変である全身の小ないし細小動脈の壊死性動脈炎を治癒に向かわしめることにある。そのためには,治療を一定期間継続することが必要であり,血圧を下降させることによつて腎機能がいつそう低下するようでは困るので,患者の一般状態に十分の注意をはらい,かつ腎機能を定期的に調べてその推移をみなければならない。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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