icon fsr

文献詳細

雑誌文献

medicina5巻4号

1968年04月発行

痛み

鎮痛剤—開発過程と効果

著者: 清原迪夫1

所属機関: 1東大麻酔科

ページ範囲:P.521 - P.524

文献概要

理想の鎮痛剤は?
 患者をして,医師のもとに走らしめるのは,病気そのものというよりは,痛みである。たとえば咳,不眠,息ぎれなどの症候では,しばらくの間ようすをみたり忍んだりしているが,激しい痛みに襲われると,即刻治療をもとめてくる。これは痛みが耐えがたいものであり,一刻も早くしずめてほしい本能的な願望が,こうして痛みのある状態から逃がれさせようとするのである。激しい頭痛や坐骨神経痛では,さつそく医療をもとめてくるのに比べて,乳がん早期の婦人の場合,はじめ小さなしこりが触れたときには医師を訪ねない。その理由をたずねると,そのとき苦痛ではなかつたからであるという。
 このように痛みを対症的にもしずめるということは,医師の当面した第一の問題である。この点からみると古来一貫してもつとも重要な医療品は鎮痛剤であつたし,歴史的にみても,阿片がキリスト以前から唯一の鎮痛剤であつて頻用されてきたことも肯ける。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら