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文献詳細

雑誌文献

medicina5巻7号

1968年07月発行

文献概要

治療のポイント

酒と肝臓

著者: 三輪清三1

所属機関: 1千葉大内科

ページ範囲:P.836 - P.837

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アルコールの肝臓におよぼす影響
 アルコールすなわち酒類は,世界じゅう人種を問わず嗜好品として用いられ,功罪両面あるとしても,いまその前者について述べるつもりはない.後者すなわち医学的にもっとも関係深いめは肝臓である.健康なる肝臓に対しても,このアルコールの長期間濫用が種々の肝疾患,たとえば脂肪肝とか肝硬変症の原因あるいは誘因のおもなものとして,古くから唱えられていることは周知のとおりである.しかしまた,一度ほかの原因によって障害された肝細胞はアルコールに対して過敏であり,ためにその治癒を遷延悪化せしめたりする原因の1つとなることを,われわれは経験している.
 アルコールと肝障害との関係については,長い間,多くの学者によって論議されているが,現在なお未解決の問題も残されている.特に後述する肝硬変の問題などはそれである.日本では,欧米に比して全体としてのアルコール消費量は少ない.しかし一面,濫用する嗜癖者はしばしばみかけるが,それらについての病態,ことに肝の病変を詳しく検索する機会には比較的恵まれない現状であるが,当教室では,主として伊藤らによってこれらの研究がなされている.肝硬変症にしても,その原因として,ウイルス性の慢性肝炎は血清肝炎が問題となることは当然の事実であるにしても,それ以外にも原因を求めてしかるべき理由がある.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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