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文献詳細

雑誌文献

medicina5巻8号

1968年08月発行

文献概要

治療のポイント

新しい強心剤

著者: 友松達弥1

所属機関: 1神大内科

ページ範囲:P.966 - P.968

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強心配糖体
 ここ2,3年来登場してきた強心配糖体は,海葱Scilla maritimaより精製されたProscillaridinである.海葱から得られた強心配糖体はScillarenという商品名で,すでに戦前に発売されていたが,副作用の強いために使用困難であった.近来,ドイツのKnoll社により精製に成功して再登場したわけである.その構造式は下図に示されるとおりで,3β-rhamnosido-14β-hydroxy-Δ4,20,22-bufatrienolideである.
 強心配糖体はジギトキシンによって代表される遅効性と,ストロファンチンあるいはデスラノシドの速効性と2種に分けられる.前者は吸収率80-100%,排泄率7-9%であるに反して,後者は吸収率10%以下,排泄率40%である1).したがって,遅効性のジギトキシンは効果が安定し持続性であるが,過重のとき,すなわち中毒症状も長くつづくことになる.速効性の場合は効果の安定性が乏しく,したがって効果の維持に難があるが,中毒症状の発生の恐れが少ない利点である.ところが本剤は吸収率が35-40%,排泄率50%である.両者の中間的存在であるが,本剤は経口剤として用いられるのみでなく,排泄率が高いから中毒症状の不安が少ない.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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