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文献詳細

雑誌文献

medicina5巻8号

1968年08月発行

文献概要

病歴のとりかた

スプルー性悪性貧血の例

著者: 小宮悦造1

所属機関: 1熊大内科

ページ範囲:P.1022 - P.1025

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 過般Medicinaから,筆者の50年の臨床経験の中で最も印象的な症例の提示を所望されたので,この例を選んだ.当時はまだ骨髄穿刺も現在ほど普及しておらず,悪性貧血に対する肝臓療法も現在ほど発展していなかったし,それにスプルーは日本にあるかないか判然しなかった時代であった.それを的確に診断し,自家製の肝臓末を与えて驚嘆に値する効果を得た点,真に印象的である.一度雑誌に報告したものであるが,現在でも十分価値ある症例と信ずるので,ご所望に応じて提供する.
 スプルーとは主としてインド,マレー,東インド,フィリッピンなどに分布する熱帯風土病の1つで,主要症候として慢性の脂肪下痢,羸痩および貧血をみるとされている.わが国で報告されたものは服部の数例と小松の1例がある.服部の例は記載がすこぶる簡単で明らかでないが,小松の例では,脂肪下痢,羸痩,胃腸障害などの症状を具備していたように報告されている.血液所見をみるに,軽度の色素指数上昇性貧血で,プライス・ジョーンス曲線は右偏していたが,巨赤芽球あるいは巨赤血球は欠如していたと記載されている.すなわちスプルー自体がわが国ではまれで,これによる悪性貧血は報告されておらぬ.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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