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EDITORIAL
全身性疾患と腎臓
著者: 浅野誠一1
所属機関: 1慶大内科
ページ範囲:P.1068 - P.1068
文献購入ページに移動循環面において,腎は平常,心送血量の20-25%の大量の血液が分配されているので,循環が不全となると,すみやかに腎機能も不全に陥りやすいことになる.心不全の際にうっ血腎と称せられる病態になるが,うっ血とともに腎血流量は心送血量減少よりもひどい程度に減少し,いわゆるうっ血性心不全の症候群の成立に重要な役割を果たしている.また大きな外傷,火傷,手術,脱水,激症の感染などで起こる末梢性循環不全のときにも,血圧低下,循環血量の著減にともなって腎血流が著しく減少するために,糸球体濾過も尿細管の選択的再吸収もはなはだしく障害されて,たちまち尿生成不能,無尿に陥る.このような急性腎不全は他の臓器にはみられない病態で,十分な腎血流量と一定の血圧のもとに作業する腎は,体の中で最も高圧のもとに作業する臓器であることの宿命である.
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