文献詳細
文献概要
特集 進化し続ける内科診療―世界が認めたブレイクスルー 循環器
心不全
著者: 篠山重威12
所属機関: 1同志社大学生命医科学部 2医療法人大寿会病院
ページ範囲:P.52 - P.57
文献購入ページに移動 心不全とは,すべての心疾患が最終的にたどり着く終末像を示す病態名であって病名ではない.したがって心不全の概念と治療法は時代とともに大きな変遷を遂げてきた.20世紀の半ばまでは,心不全は心機能の変化に基づく腎機能障害(cardiorenal disorder)と考えられ利尿薬が治療の中心であった.1960年代~1980年代にかけて心不全は末梢循環を含めた心臓循環状態異常(cardiocirculatory disorder)と考えられ,強心薬や血管拡張薬によるポンプ機能の改善に力が注がれた.1980年代の後半から現在にかけては神経体液系の障害(neurohumoral disorder)と考えられるようになった.その治療の中心はβ遮断薬やアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬に置かれている.そして,20世紀の終わりから21世紀にかけて非薬物療法および再生医療が台頭してきた.
参考文献
1)Hamaguchi S, et al:Loop diuretic use at discharge is associated with adverse outcomes in hospitalized patients with heart failure. Circ J 76:1920-1927, 2012
2)Zannad F, et al:Eplerenone in patients with systolic heart failure and mild symptoms. N Engl J Med 364:11-21, 2011
3)Swedberg K, et al:SHIFT Investigators. Ivabradine and outcomes in chronic heart failure(SHIFT);A randomised placebo-controlled trial. Lancet 376:875-885, 2010
4)The ESC Guidelines for the Diagnosis and Treatment of Acute and Chronic Heart Failure 2012. Eur Heart J 33:1787-1847, 2012
5)篠山重威:循環器病学の歴史―心不全治療の変遷,川名正敏,他(編)循環器病学・基礎と臨床,pp2-22,西村書店,2010
掲載誌情報