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特集 内分泌疾患に強くなる トピックス
甲状腺疾患と妊娠
著者: 荒田尚子1
所属機関: 1独立行政法人国立成育医療研究センター母性内科(代謝内分泌内科)
ページ範囲:P.1848 - P.1852
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◎妊娠初期にみられる甲状腺機能亢進症では,Basedow病とhCGのTSH受容体刺激作用に由来する妊娠性一過性甲状腺機能亢進症との鑑別にTSH受容体抗体(TRAb)の測定が有用である.
◎妊娠初期はチアマゾールの催奇形性のため,プロピルチオウラシルを第1選択薬とする.
◎妊娠後半になってもTRAb(コスミック®Ⅲ)が50%以上,あるいは高感度法で70%以上か10IU/L以上の場合は,胎児・新生児甲状腺機能亢進症の可能性が高い.
◎授乳中のBasedow病に対し,1日10mg以下のチアマゾールか,1日300mg以下のプロピルチオウラシルの投与は児の甲状腺機能に影響しない.
◎妊娠中の甲状腺機能低下症では,妊娠初期はTSH値2.5μU/mL未満,妊娠中期以降は3.0μU/mL未満を目標に,レボチロキシン量の調整を行う.
◎妊娠初期にみられる甲状腺機能亢進症では,Basedow病とhCGのTSH受容体刺激作用に由来する妊娠性一過性甲状腺機能亢進症との鑑別にTSH受容体抗体(TRAb)の測定が有用である.
◎妊娠初期はチアマゾールの催奇形性のため,プロピルチオウラシルを第1選択薬とする.
◎妊娠後半になってもTRAb(コスミック®Ⅲ)が50%以上,あるいは高感度法で70%以上か10IU/L以上の場合は,胎児・新生児甲状腺機能亢進症の可能性が高い.
◎授乳中のBasedow病に対し,1日10mg以下のチアマゾールか,1日300mg以下のプロピルチオウラシルの投与は児の甲状腺機能に影響しない.
◎妊娠中の甲状腺機能低下症では,妊娠初期はTSH値2.5μU/mL未満,妊娠中期以降は3.0μU/mL未満を目標に,レボチロキシン量の調整を行う.
参考文献
1)Casey BM, Leveno KJ:Thyroid disease in pregnancy. Obstet Gynecol 108:1283-1292, 2006
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5)日本甲状腺学会(編):バセドウ病治療のガイドライン2011,南江堂,2011
6)伊藤國彦,他(編):甲状腺疾患診療実践マニュアル,第3版,文光堂,2007
7)Garber JR, et al:Clinical practice guidelines for hypothyroidism in adults;Cosponsored by the American Association of Clinical Endocrinologists and the American Thyroid Association. Endocrine Practice 18:s988-994, 2012
8)De Groot L, et al:Management of thyroid dysfunction during pregnancy and postpartum;An Endocrine Society clinical practice guideline. J Clin Endocrinol Metab 97:2543-2565, 2012
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