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文献詳細

雑誌文献

medicina50巻10号

2013年10月発行

文献概要

REVIEW & PREVIEW

抗うつ薬の使い方に警鐘を鳴らす

著者: 宮岡等1

所属機関: 1北里大学医学部精神科

ページ範囲:P.1898 - P.1900

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最近の動向

うつ病患者数と抗うつ薬売上の増加

 日本における気分障害患者数は1996年には43.3万人であったのが,2008年には104.1万人となった.2011年には95.8万人とやや減少傾向に見えるが,2011年は東日本大震災により「宮城県の一部と福島県を除いたデータ」であるため,すぐ減少とは評価できない1)

 抗うつ薬の国内における売り上げは,フルボキサミン(デプロメール®,ルボックス®)が日本で最初のSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)として発売された1999年以来,著しい増加を示している.売り上げ額は製薬会社の独自調査によるため,推定値程度に理解すべきであるが,SSRIが発売される前(1998年)の172億円から,2011年には1,000億円程度になっていると言われている2).もちろん,これにはうつ病という診断の増加に加えて,抗うつ薬がパニック障害や強迫性障害など,うつ病以外の疾患も適応に加えたことや,新薬の高い薬価なども関係している.

参考文献

1)厚生労働省:精神疾患のデータ.みんなのメンタルヘルス http://www.mhlw.go.jp/kokoro/speciality/data.html
2)株式会社じほう(編):薬事ハンドブック2013―薬事行政・業界の最新動向と展望,じほう,2013
3)木下利彦:新規抗うつ薬mirtazapineのうつ病及びうつ状態の患者を対象としたプラセボ対照二重盲検比較試験.臨床精神薬理12:289-306, 2009
4)Fournier JC, et al:Antidepressant drug effects and depression severity:a patient-level meta-analysis. JAMA 303:47-53, 2010

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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