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書評
―Twycross R,Wilcock A,Dean M,Kennedy B 編 武田文和,鈴木 勉 監訳―トワイクロス先生のがん緩和ケア処方薬―薬効・薬理と薬の使い方
著者: 大石了三1
所属機関: 1九州大学
ページ範囲:P.1900 - P.1900
文献購入ページに移動 トワイクロス先生はオックスフォード大学の緩和ケア講座の初代主任教授で,長年の臨床経験に基づく先生の著書は緩和ケアの実践書として緩和ケアにかかわるすべての医療従事者のバイブルとなっている.今回,緩和ケアの実践経験豊富な日本緩和医療薬学会の認定薬剤師を中心として翻訳委員会が組織され,武田文和先生と鈴木勉先生の監訳のもとに『トワイクロス先生のがん緩和ケア処方薬―薬効・薬理と薬の使い方』が出版された.『がん緩和ケア処方薬』というタイトルであるが,取り上げられている薬物は鎮痛薬や中枢神経作用薬にとどまらず,緩和ケアにおいて用いられるほとんどの薬剤について,薬効分類ごとに必要な情報が網羅されている.基本的な薬理作用や薬物動態,副作用に加えて,緩和ケアで用いられる目的に対する根拠(エビデンス)までもが詳細に説明されており,まさに『緩和ケア臨床薬理学』の初めての書籍といえる.さらに,必要な臨床ガイドラインが簡単にまとめられていたり,特殊な処方や投与法についての説明が加えられており,かゆいところにも手が届く便利な書籍となっている.
がんの進行に伴うさまざまな症状に対する薬物療法では,治療に難渋するケースが極めて多く,経験的にあるいは症例報告などをもとにいろいろな薬物が適応外使用として使用されることが多い.また,その使用方法も添付文書の記載と異なることもある.しかし,そのような薬物の使い方についての書籍や総説はあまり見たことがない.それは,基礎および臨床のエビデンスの不十分さもあるが,適応外使用について責任をもって詳しく説明するのは躊躇されるという背景があるからであろう.本書では,緩和ケアで実践されている薬物治療について実によくまとめられており,これまで緩和ケアに専門的にかかわってきた人でも,改めてなるほどと納得させられる内容が数多く含まれていると思う.さらに,かなり細かいところまで触れてあり,緩和ケアにおけるさまざまな事態への対応を実践していくのに大いに参考になる書籍である.
がんの進行に伴うさまざまな症状に対する薬物療法では,治療に難渋するケースが極めて多く,経験的にあるいは症例報告などをもとにいろいろな薬物が適応外使用として使用されることが多い.また,その使用方法も添付文書の記載と異なることもある.しかし,そのような薬物の使い方についての書籍や総説はあまり見たことがない.それは,基礎および臨床のエビデンスの不十分さもあるが,適応外使用について責任をもって詳しく説明するのは躊躇されるという背景があるからであろう.本書では,緩和ケアで実践されている薬物治療について実によくまとめられており,これまで緩和ケアに専門的にかかわってきた人でも,改めてなるほどと納得させられる内容が数多く含まれていると思う.さらに,かなり細かいところまで触れてあり,緩和ケアにおけるさまざまな事態への対応を実践していくのに大いに参考になる書籍である.
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