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文献詳細

雑誌文献

medicina50巻11号

2013年11月発行

文献概要

特集 内科診療にガイドラインを生かす 総論

エビデンスとコンセンサス

著者: 野口善令1

所属機関: 1名古屋第二赤十字病院総合内科

ページ範囲:P.18 - P.20

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なぜガイドラインにエビデンスが必要なのか?

 ひと言で言えば,有効性のない治療法を推奨するのを防ぐためである.

 人間の認識力には限界があり,治療法の有効性について正しく判断できないことがしばしばある.たとえば,疾患の自然経過による改善,プラセボ効果,ホーソン効果(実際には治療効果がないのに患者が医師から観察されることによりアウトカムが改善する現象)などは非特異的効果として知られ,本当は治療効果がないのに見かけ上効果があるようにみえる原因となる.また,偶然の影響によって,実際には効果がないのにたまたま自分が治療効果を観察したときに限って有効となることもある.医療の専門家といえどもこれらの影響から逃れることはできない.特に治療効果が小さい場合,治療を行ってから効果が出るまでの時間がかかる場合に影響は顕著になる.

参考文献

1)難治性炎症性腸管障害に関する調査研究班プロジェクト研究グループ:エビデンスとコンセンサスを統合した潰瘍性大腸炎の診療ガイドライン,2006
2)福井次矢,他(編):Minds診療ガイドライン作成の手引き,2007
3)Guyatt GH, et al, for the GRADE Working Group:Rating quality of evidence and strength of recommendations GRADE;An emerging consensus on rating quality of evidence and strength of recommendations. BMJ 336:924-926, 2008 (2008 BMJシリーズ6部作で改訂後のGRADEシステムを解説.ここに挙げたのはその第1部)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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