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特集 内科診療にガイドラインを生かす 循環器疾患
肺高血圧症
著者: 中西宣文1
所属機関: 1国立循環器病研究センター研究所肺高血圧先端医療学研究部
ページ範囲:P.81 - P.85
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肺高血圧症は旧来より予後不良の疾患であることが知られていた.しかし,その症例数は多くはなく治療薬も存在せず,よって近年まで肺高血圧症診断・治療ガイドラインの必要性は乏しかったと言える.しかし,1990年以降に,特に肺動脈性肺高血圧症に対する内科的治療薬が開発されたことが契機となり,肺高血圧症に関する国際会議で治療方針の検討が開始された.そして2008年に米国ダナポイントで開催された第4回肺高血圧症ワールドシンポジウムでは,本症の定義や臨床分類・治療のエビデンスなどが討議され,この結果は2009年に「ACCF/AHA 2009 Expert Consensus Document」と「ESC/ERS Guidelines for the diagnosis and treatment of pulmonary hypertension」として成文化された.さらに2013年には第5回肺高血圧症ワールドシンポジウムがニースで開催され,その討議内容の一部とわが国独自の治療エビデンスを取り入れた日本循環器学会の「肺高血圧症治療ガイドライン(2012年改訂版)」もWeb上で公表された.現時点では,これらが代表的な肺高血圧症に関するガイドラインといえる(表1).
肺高血圧症は旧来より予後不良の疾患であることが知られていた.しかし,その症例数は多くはなく治療薬も存在せず,よって近年まで肺高血圧症診断・治療ガイドラインの必要性は乏しかったと言える.しかし,1990年以降に,特に肺動脈性肺高血圧症に対する内科的治療薬が開発されたことが契機となり,肺高血圧症に関する国際会議で治療方針の検討が開始された.そして2008年に米国ダナポイントで開催された第4回肺高血圧症ワールドシンポジウムでは,本症の定義や臨床分類・治療のエビデンスなどが討議され,この結果は2009年に「ACCF/AHA 2009 Expert Consensus Document」と「ESC/ERS Guidelines for the diagnosis and treatment of pulmonary hypertension」として成文化された.さらに2013年には第5回肺高血圧症ワールドシンポジウムがニースで開催され,その討議内容の一部とわが国独自の治療エビデンスを取り入れた日本循環器学会の「肺高血圧症治療ガイドライン(2012年改訂版)」もWeb上で公表された.現時点では,これらが代表的な肺高血圧症に関するガイドラインといえる(表1).
参考文献
1)Galiè N, et al:Guidelines for the diagnosis and treatment of pulmonary hypertension;the Task Force for the Diagnosis and Treatment of Pulmonary Hypertension of the European Society of Cardiology(ESC)and the European Respiratory Society(ERS), endorsed by the International Society of Heart and Lung Transplantation(ISHLT). Eur Heart J 30:2493-2537, 2009
2)Galiè N, et al:Guidelines for the diagnosis and treatment of pulmonary hypertension. Eur Respir J 34:1219-1263, 2009
3)McLaughlin VV, et al:ACCF/AHA 2009 expert consensus document on pulmonary hypertension:a report of the American College of Cardiology Foundation Task Force on Expert Consensus Documents and the American Heart Association;Developed in collaboration with the American College of Chest Physicians, American Thoracic Society, Inc., and the Pulmonary Hypertension Association. Circulation 119:2250-2294, 2009
4)McLaughlin VV, et al:ACCF/AHA 2009 expert consensus document on pulmonary hypertension:a report of the American College of Cardiology Foundation Task Force on Expert Consensus Documents and the American Heart Association;Developed in collaboration with the American College of Chest Physicians, American Thoracic Society, Inc., and the Pulmonary Hypertension Association. J Am Coll Cardiol 53:1573-1619, 2009
5)循環器病の診断と診療に関するガイドライン,肺高血圧症治療ガイドライン(2012年改訂版) http://www.j-circ.or.jp/guideline/pdf/JCS2012_nakanishi_d.pdf(2013年8月閲覧)
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