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特集 内科診療にガイドラインを生かす 血液疾患
貧血
著者: 生田克哉1 伊藤巧1 高後裕1
所属機関: 1旭川医科大学内科学講座消化器・血液腫瘍制御内科学分野
ページ範囲:P.300 - P.303
文献購入ページに移動貧血は,単位容積の血液あたりのヘモグロビン濃度が低下した状態と定義されるが,その原因にはさまざまなものがあり,決して均一な疾患単位ではない.貧血を診た場合,それを分類し,その原因を検索し,それに対して治療的アプローチをしていかなくてはならないが,現在のところ貧血全般に対する包括的かつ整ったガイドラインはない.そのため,細分化された後の各種ガイドラインを利用していくことになる.最も頻度の高い貧血は鉄欠乏性貧血であり,日常臨床で診る貧血の約7割程度を占めるとされるが,これに対しては日本鉄バイオサイエンス学会から「鉄剤の適正使用による貧血治療指針(改訂第2版)」が2009年に出されており,鉄欠乏性貧血の診断・治療・予防を網羅した内容になっている.これ以外の貧血に関するガイドラインとしては,「癌および化学療法に伴う貧血に対するガイドライン」がNational Comprehensive Cancer Network(NCCN)から出されており,特に内科領域の日常診療で遭遇する機会が多い病態に対し,フローチャートなどを使用した記載となっているが,少々煩雑である.慢性腎臓病に伴う貧血に対しては,日本透析医学会よりガイドラインが出されており,細かなエビデンスレベルも併記されている.その他,疾患頻度は減り血液内科領域に限定されてくるが,再生不良性貧血や骨髄異形成症候群などの造血不全に伴う貧血に対しては,「厚生労働省科学研究費補助金 難治性疾患克服研究事業 特発性造血障害班 特発性造血障害疾患の診療の参照ガイド」が出されているが,文章量が非常に多く,日常臨床での使用が少々難しい.そのため,同班において各対象疾患の責任者が集い,要点をコンパクトにまとめ,部分的にアップデートした形の「難治性貧血の診療ガイド」が出されており,実際の臨床で使用されている.
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