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特集 内科診療にガイドラインを生かす がん検診
消化器領域―胃がん検診に関するエビデンス
著者: 斎藤博1
所属機関: 1国立がん研究センターがん予防・検診研究センター
ページ範囲:P.480 - P.487
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がん検診ガイドラインは,わが国では厚生労働省研究班により,科学的根拠に基づいた手法で作成されており,消化器がんについては大腸がん1),胃がん2)についてそれぞれ2005年,2006年に発行されている.海外ではガイドラインとは異なるが,米国国立がん研究所(National Cancer Institute:NCI)の「Physician Data Query®(PDQ®)」で検診法の評価が記述されているほかは,科学的根拠に基づくものはなく,コンセンサスによるレポート等である.
本稿に課せられた主題は,有効性がまだ確立されていないが一部で議論のある“controversial”な消化器がん検診についてである.実は検診の有効性そのものの判断が分かれて,controversialになることは科学的根拠で判断すればそれほどありがちなことではない.わが国でしばしば「議論」が起こるのは評価のエンドポイントをはじめ,科学的根拠によらない有効性の過大評価/誤認が多くなされていることに主な原因がある.科学的根拠に基づくがん検診ガイドラインの必要性の所以である.
がん検診ガイドラインは,わが国では厚生労働省研究班により,科学的根拠に基づいた手法で作成されており,消化器がんについては大腸がん1),胃がん2)についてそれぞれ2005年,2006年に発行されている.海外ではガイドラインとは異なるが,米国国立がん研究所(National Cancer Institute:NCI)の「Physician Data Query®(PDQ®)」で検診法の評価が記述されているほかは,科学的根拠に基づくものはなく,コンセンサスによるレポート等である.
本稿に課せられた主題は,有効性がまだ確立されていないが一部で議論のある“controversial”な消化器がん検診についてである.実は検診の有効性そのものの判断が分かれて,controversialになることは科学的根拠で判断すればそれほどありがちなことではない.わが国でしばしば「議論」が起こるのは評価のエンドポイントをはじめ,科学的根拠によらない有効性の過大評価/誤認が多くなされていることに主な原因がある.科学的根拠に基づくがん検診ガイドラインの必要性の所以である.
参考文献
1)平成16年度 厚生労働省がん研究助成金「がん検診の適切な方法とその評価法の確立に関する研究」班(主任研究者 祖父江友孝):有効性評価に基づく大腸がん検診ガイドライン,2005
2)平成17年度 厚生労働省がん研究助成金「がん検診の適切な方法とその評価法の確立に関する研究」班(主任研究者 祖父江友孝):有効性評価に基づく胃がん検診ガイドライン,2006
3)斎藤 博,他:がん検診のあり方―現状と展望―大腸がん.癌と科学療法39:13-18, 2012
4)平成12年度 厚生労働省老人保健事業推進費等補助金 がん検診の適正化に関する調査研究事業 新たながん検診手法の有効性評価報告書(主任研究者 久道茂):公衆衛生協会,2001
5)平成16年度 厚生労働省がん研究助成金「がん検診の適切な方法とその評価法の確立に関する研究」班(主任研究者 祖父江友孝):有効性評価に基づくがん検診ガイドライン作成手順,2005
6)Matsumoto S, et al:Results of mass endoscopic examination for gastric cancer in Kamigoto Hospital, Nagasaki Prefecture. World J Gastroenterol 13:4316-4320, 2007
7)松本吏弘:X線検診,検診未受診と対比した胃内視鏡検診による死亡率減少効果.日消がん検診誌48:436-441, 2010
8)Hosokawa O, et al:Decreased death from gastric cancer by endoscopic screening:Association with a population-based cancer registry. Scand J Gastroenterol 43:1112-1115, 2008
9)細川 治,他:繰り返し内視鏡検査による胃がん死亡率減少効果.日消がん検診誌46:14-19, 2008
10)細川 治,他:任意型内視鏡検診での胃がん死亡率減少効果.日消がん検診誌49:401-407, 2011
11)小越和栄,他:新潟市住民に対する胃がん内視鏡検診.ENDOSCOPIC FORUM digest dis 26:5-26, 2010
12)Ohata H, et al:Gastric cancer screening of a high-risk population in Japan using serum pepsinogen and barium digital radiography. Cancer Sci 96:713-720, 2005
13)伊藤史子,他:地域住民を対象とした2段階ペプシノゲン法胃がん検診の死亡減少効果の検討.日がん検診断会誌14:156-160, 2007
14)Yoshihara M, et al:Reduction in gastric cancer mortality by screening based on serum pepsinogen concentration:A case-control study. Scand J Gastroenterol 42:760-764, 2007
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