medicina50巻2号

2013年02月発行

特集 大きく変貌した脳梗塞の診断と治療

病型ごとの治療

脳動脈解離と大動脈原性脳塞栓症

著者： 田中弘二¹ 豊田一則¹

所属機関： ¹国立循環器病研究センター脳血管内科

ページ範囲：P.256 - P.260

文献概要

ポイント

◎脳動脈解離は若年性脳梗塞の原因として重要である．

◎脳動脈解離に対する治療は確立されていない．虚血性脳血管障害で発症した脳動脈解離に対しては一般的に抗血栓療法を行うが，血管形態に応じて治療を選択する．

◎脳動脈解離では短期間に血管の形態変化をきたす場合があり，特に急性期には慎重な経過観察が必要である．

◎大動脈の動脈硬化性病変は経食道心臓超音波検査での評価が一般的である．

◎大動脈原性脳塞栓症の治療法は確立されていないが，一般的に抗血栓療法やスタチン投与が行われる．

参考文献

1）矢坂正弘：若年脳卒中全国調査における脳動脈解離症例の検討．峰松一夫（編）：若年者脳卒中診療の手引き，pp 91-95，循環器病研究委託費12指-2「若年世代の脳卒中の診断，治療，予防戦略に関する全国多施設共同研究（SASSY-Japan）」，2003

2）松岡秀樹：脳動脈解離の現状―本邦の実態（アンケート調査，後ろ向き登録研究から）．松岡秀樹（編）：脳動脈解離診療の手引き，pp 8-16，循環器病研究委託費18公-5「脳血管解離の病態と治療法の開発」，2009

3）塚原哲也：脳動脈解離の現状―脳動脈解離の病態，症状，診断，治療のアウトライン．松岡秀樹（編）：脳動脈解離診療の手引き，pp 1-7，循環器病研究委託費18公-5「脳血管解離の病態と治療法の開発」，2009

4）Toyoda K, et al：Aortogenic embolic stroke：Transesophageal echocardiographic approach. Stroke 23：1056-1061, 1992

5）Amarenco P, et al：The prevalence of ulcerated plaques in the aortic arch in patients with stroke. N Engl J Med 326：221-225, 1992

6）Amarenco P, et al：Atherosclerotic disease of the aortic arch and the risk of ischemic stroke. N Engl J Med 331：1474-1479, 1994

7）矢坂正弘：大動脈原性脳梗塞の病態，診断，予防に関する研究．成冨博章（編）：循環器病研究委託費18公-2「粥状硬化性機序による難治性脳梗塞の診断，治療，予防に関する研究」平成18年度報告書，2007