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文献詳細

雑誌文献

medicina50巻7号

2013年07月発行

連載 皮膚科×アレルギー膠原病科合同カンファレンス・16

治療中断後に再燃したSLE

著者: 岡田正人1 衛藤光2

所属機関: 1聖路加国際病院アレルギー膠原病科(SLE,関節リウマチ,小児リウマチ) 2聖路加国際病院皮膚科

ページ範囲:P.1278 - P.1282

文献概要

後期研修医(アレルギー膠原病科) 今回の患者さんは来院2年前に蝶形紅斑,脱毛,関節炎にて発症した全身性エリテマトーデス(SLE)の30歳女性です.来院半年前に皮疹に対してステロイド15 mgが開始されましたが,軽快後は1カ月間で中止し,その後は通院していなかったとのことです.来院1カ月前から,発熱があり近医受診され,セフェム系の抗菌薬を投与されましたが改善なく,蝶形紅斑,手の皮疹も出現し当科紹介となりました.来院時の血液検査では,血球減少(WBC 2,700/μL,ヘマトクリット27.5%,血小板7.6×104/μL),補体低下(C3 14mg/dL,C4 1mg/dL),IgG 3,335 mg/dLであり,尿蛋白も0.5g/日以上とSLEの増悪発作と考えられました.抗体はANA 2,580倍で,抗dsDNA抗体,抗Sm抗体,抗U1RNP抗体,抗Ro/SS-A抗体なども高値陽性でした.抗リン脂質抗体は,ループスアンチコアグラントはRVV法,中和法ともに陰性,抗β2GPI依存性カルジオリピン抗体陰性でしたが,抗カルジオリピン抗体は中等度陽性でした.入院時の活性化部分トロンボプラスチン時間(aPTT)は36.9秒と軽度上昇していましたが,入院2日後からは正常化しています.

アレルギー膠原病科医 SLEの予後はここ50年で大変改善しており10年生存率も90%を超えていますが,あくまで治療の進歩によるものですから,この患者さんのように治療や通院を中断してしまうと大変重篤な結果になりかねないですね.

参考文献

1)Miyakis S, et al:International consensus statement on an update of the classification criteria for definite antiphospholipid syndrome(APS). J Thromb Haemost 4:295-306, 2006
2)衛藤光,他:SLEの皮膚症状の統計.皮膚病診療18:543-547, 1996

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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